総論 ゴムの解析・評価の基礎―企業における解析活用の課題―

2021年03月02日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 次世代に求められるゴムの分析・解析技術

総論 ゴムの解析・評価の基礎―企業における解析活用の課題―

寺子屋 萩本光広

1.はじめに

 昨今の製品開発においてシミュレーション、なかでもFEM解析が重要な役割を担っています。解析は、その予測精度が非常に重要視されると共に開発の緊急性に伴いスピードも求められます。私が解析に初めて出会ったのは1991年、ハードとソフトで1億円以上の投資にも関わらず、現在の解析能力の1万分の1にも届いていなかったと思います。
 ハードおよびソフト共に非常に高価で、解析スピードや解析能力は100万分の1以下でソフトの機能も使い勝手と共に格段に向上しています。しかし、解析に必要な、特に材料の評価技術は30年前とそれほど変わっていないように感じます。解析と評価、根本的な材料評価から少し触れたいと思います。
 図1は昔に最速ハードで1週間、現在はノートPCで十分な分割の解析ができる例です。

2.解析の基盤である材料評価について

 今は解析結果の裏付けをもって営業活動するするように、一般的な予測ツールとして実際の製品を作る前に製品の良否を判断することが必要です。しかし、予測精度は30年前と大きく変わったとは言えないと感じます。その根本理由として、ゴムの材料評価はJIS規格を頼っている状況です。
 開発のスピードが急速に上がり、そちらに注力すると基本的な材料データ構築に手間をかけられない状況で、未だに材料関係は情報不足もありシミュレーションを有効手段として取り入れ難い状況にあります。
 写真1と写真2は解析予測に必要な二軸試験機で、市販のものは非常に高価なので簡易版を設計・制作しました(後に触れます)。

2.1 構造解析の基本である縦弾性係数
 解析の基本の材料定数である縦弾性係数、一般的呼び方ヤング率がありますがJISなどの評価方法は解析に利用する目的で規格が出来ていない状況です。ヤング率を求める場合、せん断弾性率の3倍として、もう1つの方法は直接の伸張試験にひずみと応力の関係からヤング率を計算する2つの方法が一般的です。いずれも評価方法は異なり根本的な問題があります(図2-1)。
 大学の材料力学で学んだ方も多いと思いますが、基本式は
 ヤング率=応力σ/ひずみε 
 ですが、どんな試験片でも成り立つものではないということです。ここが落とし穴です。
 式が必ずしも成り立たない事もあまり知られていませんが、短冊とダンベルでも算出されるヤング率が異なり正しいヤング率か疑問が発生します。最近までJISではこのせん断弾性率測定法で短冊形状での測定と規定していましたが、改定では形状記載は消えています。
 つまり、どんな形状でも同じヤング率になるという誤解を生むことになりますが意外

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