日本の資源循環政策とバイオプラスチックをめぐるイノベーションへの期待

2021年02月25日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 バイオプラスチックの現状と将来展望

日本の資源循環政策とバイオプラスチックをめぐるイノベーションへの期待

経済産業省 末藤尚希・森智和

 国を挙げて海洋プラスチックごみ問題とプラスチックの資源循環の高度化に向けた取り組みが加速している。経済産業省・資源循環経済課の末藤尚希課長補佐(以下、末藤)と同省・資源循環経済課・森智和専門職(以下、森)に、経済産業省の取り組みや資源循環政策、バイオプラスチックの普及などを聞いた。

──海洋プラスチックごみの問題が注目され、世界的にプラスチック製品の使い方を見直す機運が高まっています。今、日本ではどのような取り組みが進んでいますか。

 末藤 海洋プラスチックごみ問題を契機に、海洋に放出されるごみについて廃棄物管理を徹底していくことと合わせて、流出するようなものがあっても、しっかりと海洋で分解されるような代替素材に転換を進めていくイノベーションという、廃棄物管理とイノベーションの両輪で進めていこうというのが日本での取り組みの基本的な考え方です。廃棄物管理については、従前からしっかりと進めてきていますが、とりわけイノベーションは、昨年5月に策定した海洋生分解性プラスチックの導入普及ロードマップに沿って取り組んでいます。具体的には、研究開発を支援しているほか、我が国が強みを有する海洋生分解性プラスチックが国際的に市場を獲得していく上で、非常に重要になってくる信頼性の確保に向けた国際標準化の提案など目下検討を進めているという状況です。

──その取り組みの中で、経済産業省の資源循環経済課は、どのような役割を担っていますか。

 末藤 この海洋プラスチックごみ問題と、プラスチックの資源循環の高度化に向けては、環境省と連携しながら、プラスチック資源循環戦略を策定したり、あるいは、直近ですとレジ袋の有料化に向けた制度の見直しなどに向けて取り組んでいます。この中でも産業界が先行しているものもありますが、自主的な取り組みが円滑に進むような環境の整備や、プラスチックのサプライチェーンの上流から下流に至るまで業界の枠を超えた官民連携の枠組み「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」の企画・運営への参画、代替素材の普及・開発に向けた研究開発の支援を中心に取り組んでいます。

──資源循環政策の中で、バイオプラスチックというものはどのような位置付けとなりますか。

 末藤 イノベーションの中で、バイオプラスチックは、バイオマスプラスチックと

全文:約5865文字

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