インサート成形の基礎と実用化の留意点、今後の展望

2021年02月18日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特設記事2 実務で役立つインサート成形の基礎技術と留意点

インサート成形の基礎と実用化の留意点、今後の展望

大塚技術士事務所 大塚正彦

1.はじめに

 自動車、情報機器端末、事務機器、産業機器など日常生活に不可欠な製品においては、樹脂需品が多用されている。特に必需品となっている自動車、携帯機器端末では、小型・軽量・薄型化、低価格化ニーズが高いが、これらのニーズを実現する方法の一つとして、金属部品と樹脂を一体化するインサート成形技術が挙げられる。昨今では、さらに堅牢性、防塵・防水性を兼ね備えた製品が求められている。このような高度なニーズを満足する製品づくりには、インサート部品と樹脂の射出成形接合を可能にするインサート成形接合によるモノづくりが必要になる。
 本稿ではインサート成形の基礎と実用化の留意点、今後の展望として、インサート成形接合について解説する。

2.インサート成形とは

 インサート成形は、通常の射出成形工程(図1)のなかで、成形開始の際の金型開き時に、金型内の主にコア側に金属部品などを所定位置に挿入後、金型を閉めて、溶融した樹脂を金型内に充填して金属部品と樹脂を一体化する工法である。インサート部品には、金属(ネジ、シャフトなど)、フィルム、リードフレーム、ガラス、カーボンシートなどがある。

3.アウトサート成形との違い

 ネジを樹脂と一体化する方法として、射出成形後の樹脂成形品にネジを組み立てるアウトサート成形がある。
 アウトサート成形の原理を図3に示す。射出成形品にネジなどを後から組み込む方法で、ネジなどの部品を加熱して成形品を溶融させながら所定位置に組み込む。
 インサート成形との大きな違いは、成形後にネジなどを加熱して成形品に組み込むなどの二次加工が必要になることである。
 二次加工が必要なため、成形品のコストアップ、二次加工による品質のバラツキが発生するリスクがある。
 以下に品質不良内容を記す。
 ①加熱したネジを組み込む際に、溶融した樹脂がネジの周囲に溢れる。
 ②加熱温度が高い場合、プラスチック周囲の樹脂に“焼け”状態が発生する。
 特に、溶融温度が高いスーパーエンジニアリングプラスチック(例:PPS、PES)などの場合、アウトサート部品も高温に加熱する必要がある。設定温度に加熱するまでの時間が長くなる欠点がある。また、熱膨張によるアウトサート部品の寸法変化量の増大が想定され、成形品へのアウトサートの組み込み不良、組み込み後の寸法精度不良発生のリスクが挙げられる。
 インサート成形の場合、既述したアウトサートにおけるコストアップ、品質不良発生リスクを大幅に低減することが出来る。

4.インサート成形技術開発の背景、原理、利点・欠点

 技術開発の背景、原理、利点・欠点を以下に記す。

4.1 背景
 樹脂部品と金属部品などの組み立て方法として、前述の3で概説したアウトサート成形があるが、一般的な方法として、両面テープ、接着剤、ネジ等の副資材を使用した組み立て方法がある。しかしコスト面では副資材購入費用が必要となり、また、組み立て工数が掛かることからコストアップの原因になる。
 これら副資材を使用した組み立ての場合、接着不良、接着剤のはみ出し、部品組み立て時のインサート部品の

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