ゴム金型および成形シミュレーション

2021年01月29日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 ゴム金型の最新動向と製造・技術の留意点

ゴム金型および成形シミュレーション

㈱平泉洋行  谷田部豊将

1.はじめに
 ゴム業界では、金型および製品品質問題を解決する際にトライアンドエラー方式をとるのが共通方式である。一般的には、技術者が従来の経験に基づいて金型形状を設計し、不適切なゲート位置およびランナー形状、充填不良、製品の強度不足、エアトラップなどの問題解決の為に多くの試行錯誤および手直しを行っている。
 近年、CAE(Computer Aided Engineering)技術およびコンピュータ技術の進歩により、ゴムの射出成形において、高精度な3次元バーチャルシミュレーションソフトウェアが開発され、成形加工問題の解決に役立てられている。ここでは、実用化されているゴムの射出成形シミュレーション技術について述べる。

2.金型および成形シミュレーション技術の進歩
 プラスチック業界では、最も生産性の高い方法として、射出成形が広く用いられ、CAE技術によるシミュレーションが金型設計および品質改善を目的として率先して導入されてきた。CAE技術の研究は1970年ごろから始まり、1次元による流動解析から2次元による流動解析に発展し1)、1990年代には2.5次元流動解析プログラムが広く採用された。2.5次元による流動解析は、肉厚に対して平行なフローを予知するために活用されていたが、かさ容積の大きい製品の場合に正確な結果を得ることができないことにより、ゴム製品の様な肉厚部品をシミュレーションする事は極めて困難であった。図1に、肉厚部に対して3次元フローが存在するエリアを示す。
 ゴム製品においては、流動シミュレーションに限定されず、加硫の解析を念頭におかなければならない。従って金型内部で生じ得る全ての熱的相互作用の影響を3次元的に考慮した計算が前提となる。
3.シミュレーションの条件定義
シミュレーションを行うためには、3D-CADで作成されたモデル

全文:約3671文字

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