年頭所感 横浜ゴム 山石昌孝社長

2021年01月01日

ゴムタイムス社

山石昌孝社長

山石昌孝社長

 本年の経済状況ですが、国内外において、新型コロナウイルス感染症の流行により、特に我々が属する自動車産業を中心に、第2四半期は急激な落ち込みとなりました。夏には新型コロナウイルス感染低下による景気回復の期待もありましたが、早期の新型コロナウイルス感染症の収束を行った中国を除き、この冬からの第3波による再拡大で、経済の先行きに予断を許さない状況にあると考えられます。
 
 こうした厳しい経済環境の影響により、第3四半期までの当社のタイヤ事業は、前年に対し売上収益、事業利益とも前年同期を下回りました。新車用タイヤについては、国内で第2四半期に大きく落ち込んだ需要が8月以降持ち直しつつありますが、挽回に至らず、売上収益、事業利益とも、前年同期を下回りました。 市販用タイヤについても、高付加価値商品の更なる拡販に努めましたが、昨年来の暖冬の影響により、年初の冬用タイヤの販売は低調でした。更に、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う消費活動の停滞で、需要が減少し、市販用タイヤ全体として売上収益、事業利益とも、前年同期を下回りました。

 MB事業についても、第3四半期までの新型コロナウイルス感染症の影響で、全体として売上収益、事業利益とも前年同期を下回りました。ホース配管事業は、建機・自動車向けの需要が戻らず、売上収益、事業利益とも前年を割り込み、工業資材事業では、海洋商品は増収増益、コンベヤベルトおよび土木資材は減収減益でした。ハマタイト事業は、国内工事の中断と自動車生産減の影響を受け、売上収益、事業利益とも前年を割り込み、航空部品事業では、官需は減収増益でしたが、民間航空機需要が消失したことにより、全体で減収減益となりました。
 
 ATGについては、市販向けはある程度の回復基調にあるものの、農機メーカー向けの需要減とインド政府指示による操業停止がひびき、売上収益、事業利益とも前年同期を下回りました。

 次に2020年の主な取り組みについてです。4月7日の国の緊急事態宣言に先駆けて、当社は新型コロナウイルス感染症をリーマンショック以上の事態ととらえ、3月末の株主総会直後、速やかに社内への緊急事態宣言を発令し、その後すぐに緊急事態プロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトでは過去の前例にとらわれず、固定費の見直し、販管費の削減、設備投資の凍結、機動的な資金調達を実施し、財務の安全性を確保しました。特にこのタイミングでしか行えない、物流の見直しによる国内営業拠点の大胆な統廃合、遊休土地建物/ゴルフ会員権の売却、事業構造改革、チェルシー等の契約の見直し、OHT事業統合等々、多くの施策の実行を加速しました。詳しくは、来年2月に予定している「新中期経営計画」の発表時に「グランドデザイン2020(GD2020)」の総括としてご説明させていただきます。
通期の連結業績予想については、11月に公表しました修正値ですが、その達成は、第2四半期の大きな落ち込みに対する急激な需要の戻りに、いかに柔軟に生・販で対応できるかに掛かっていると考えております。足元は、暖冬であった昨年に比べ降雪が見込まれるものの、新型コロナウイルスの第3波、コンテナの不足、そしてアメリカのタイ製品に対する増税など、問題が山積みしておりますが、公表値達成に向け全社を挙げひとつひとつ丁寧に対応しております。

 本年は中期経営計画「GD2020」の最終年でしたが、新型コロナウイルスの対応に終始し、すべての打ち手を予定通り行うことが出来ませんでした。今後の経済回復についても、2019年レベルに戻るのは、2022年とも、2023年とも言われています。また、CASEといった大きな変化の波が押し寄せようとしています。我々は、それはそれで与件として捉え、当初描いた目標達成に向け、心機一転「新中期経営計画」を鋭意策定中です。来年2月に公表予定ですので、皆さまの更なるご理解、ご協力をよろしくお願い致します。

 最後となりますが、今年も残すところ2週間となりましたが、来年の皆様のご健勝ご清栄を祈念するとともに、変わらぬご指導、ご鞭撻を頂きますよう、どうかよろしくお願いいたします。

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