三井化学が歯科材料事業拡充 3Dプリンター活用で推進

2020年11月24日

ゴムタイムス社

 三井化学は11月17日、同社のグループ会社であるクルツァージャパンが、11月より歯科用3Dプリンターで作製するデンチャー(入れ歯)をデザインするクラウドデザインプラットフォームサービス(DENTCA社製)の提供を、日本で開始したと発表した。また10月からは、同社の高分子、合成技術を活かした3Dプリンター用ソフトスプリント向けの新しいレジンインクを販売している。

 DENTCA社にてこれまで米国を中心に展開していた歯科用3Dプリンター向けクラウドベースのデザインプラットフォームサービスを、日本ではクルツァージャパンが11月より販売開始した。従来は歯科技工士が歯の排列や歯肉のデザインを模型を使って手で行っていたが、同サービスでは、クラウドベースのソフトウェア上で全てデザインできるようになる。

 これによりデンチャーを従来の作業時間の10分の1程度の短時間で作製できるようになり、生産性の向上が図られるとともに、歯科技工士の人手不足解消にも貢献できる。一方、患者にとっては、デンチャー作製のために最低5回は通院が必要だが、これを3回程度まで減らすことが可能となる。

 クルツァージャパンでは、2020年10月に、今年5製品目となるソフトスプリント(噛み合わせによる顎などの障害を回復するために装着するマウスピース)造形用レジンインクの販売を開始し、さらなるラインナップの拡充を図っている。

 歯科材料分野では、金属から樹脂への素材転換が進んでいる。同社は、強みである素材開発力を背景に研究開発資源を投入しており、既に2000種類以上のレジンインクのレシピを所有している。同社が開発したレジンインクは、ドイツのクルツァー社にて歯科医療分野での用途に応じた検証を行い、それをフィードバックして最適化している。その後、B9クリエーション社の3Dプリンター(cara Printer)で造形するために、レジンインクに最適化されたパラメータを設定し、最新のファームウェア(造形プログラム)として提供している。

 

DENTCA社のシステムを使ったデザイン

DENTCA社のシステムを使ったデザイン

ソフトスプリント造形用「ディーマプリント・ソフトプリント」

ソフトスプリント造形用「ディーマプリント・ソフトプリント」

 

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