シリコーンゴムの親水化技術 朝日ラバーが開発

2020年11月10日

ゴムタイムス社

 朝日ラバーは11月6日、独自の配合技術と表面改質及びマイクロ加工技術を活かして、シリコーンゴムに親水性に優れた処理を施す技術を開発したと発表した。

 親水性とは、水をはじかない性質のことで、シリコーンゴムはその素材性質上、親水性が少なく、ゴムの表面に水分を接触させると水分の接触角が100度以上になる。物質の表面に水溶液をなじませて、その効果を付与させたい場合は、通常、乾式処理、湿式処理、蒸着という方法が用いられるが、シリコーンゴムに対してはいずれの方法も親水効果が一過性であり、長期間親水性を保持することができなかった。

 今回、当社が開発した親水化技術は、ゴムの表面に水分を接触させた場合の接触角を10度以下にすることができる。また、親水化効果を長期間保持できること、耐滅菌性があること、簡便なものづくりができることが特長となっている。

 親水化技術には、配合と表面処理の二つの方法がある。配合による親水化処理では、シリコーンゴムに独自の配合技術により、親水化付与剤を配合させることで表面を親水化する。従来の配合技術では、最初は撥水性を持っており徐々に親水化することしかできなかったが、同社技術ではすぐに親水化の効果を得ることができる。

 表面改質による親水化処理は、独自の配合技術による親水化のあと、表面修飾剤を塗布することで表面を親水化し、配合による親水化処理より耐熱性に優れている。この表面修飾剤は、埼玉工業大学の田中教授との共同開発による新しい親水性付与方法となる。

 同社では、シリコーンゴムの特徴を活かした分子接着・接合技術によりマイクロ流体デバイスをライフサイエンス分野に展開しているが、今回開発した超親水性処理技術をマイクロ流体デバイスに応用することで、マイクロ流路内の送液性をこれまで以上に向上させることができる。また、細胞培養器材に使用することで、細胞の取り出しやすさや蛍光観察を可能にすることができる。

 

シリコーンゴムの比較

シリコーンゴムの比較

 

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