日本ゼオン 産総研とCNTの研究ラボ設立で合意

2016年06月06日

ゴムタイムス社

 日本ゼオンは6月1日、産業技術総合研究所と同日、「日本ゼオン―産総研カーボンナノチューブ(CNT)実用化連携研究ラボ」を設立することで合意したと発表した。

  7月1日に産総研つくばセンター(茨城県つくば市)に設置。ラボ長には上島貢・同社CNT研究所長が就任し、人員は計10人程度とする予定だ。

 同ラボでは組織間の垣根を取り払い、産総研が開発したCNTの合成法「スーパーグロース(SG)法」の実証プラントなどの基盤研究設備と研究員を活用。SG法をベースとした高効率合成法と、次世代合成法によるCNTの量産化に関する研究開発を行い、CNTの各種工業材料としての展開を見据えた、一層のコストダウンと生産量向上を目指す。

 CNTは、日本の飯島澄男博士が発見し、日本が世界をリードしている材料。軽量・高強度で、電気や熱の伝導率が高いことから、さまざまな用途への利用が期待されている。

 産総研は、2004年に畠賢治博士らにより見出された、革新的なCNTの合成法であるSG法の基盤技術を開発した。その後、日本ゼオンとともに、経済産業省・NEDO「カーボンナノチューブキャパシタ開発プロジェクト」(06~10年度)などで、SG法によって製造される高品位なCNT(SGCNT)の量産技術開発を進め、11年からサンプル提供による技術普及活動を進めてきた。

 同社では、昨年11月に量産実証プラントで得られた技術を活用し、世界で初めてSGCNTの量産工場を山口県・徳山工場内に完成させている。

 SGCNTは、他のCNTに比べ高アスペクト比、高純度、大表面積を示すといった特長がある。そのため、高性能キャパシタ、高機能ゴム材料、高熱導電材料など、従来にない機能や性能を持つ革新的材料、次世代デバイスなどへの応用が期待される材料で、今後、その需要は飛躍的に拡大すると予想される。

関連キーワード: ·

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー