JSR トップコート材料で日本化学会化学技術賞を受賞

2016年04月06日

ゴムタイムス社

 JSRは3月30日、「ArF液浸リソグラフィ用トップコート材料の開発」の実績により、同社から5名の受賞者が公益社団法人日本化学会の平成27年度第64回日本化学会化学技術賞を受賞したと発表した。

 日本化学会は、1878年に創立され140年近い歴史を持つ、会員約3万名を擁する国内最大の化学分野の学会。毎年、学術・産業分野において顕著な業績をあげた研究に携わった団体と個人が表彰されている。同社が開発したトップコート材料は2006年の商品化と共にArF液浸リソグラフィの標準材料となり、ArF液浸リソグラフィ技術の早期実用化を可能とし、LSIの微細化推進に大きく貢献したことが評価され、今回の受賞となった。

 受賞者した5名は、JSR精密電子研究所半導体材料開発室長の島基之氏、JSR精密電子研究所プロセス材料開発室の杉江紀彦氏、JSR製造技術第二センター第一チームの草開一憲氏、JSR精密電子研究所半導体材料開発室の中川大樹氏、JMエナジー開発部長の千葉隆氏。受賞者は、3月26日に同志社大学京田辺キャンパスで行われた日本化学会第96春季年会において表彰された。

 ArF液浸リソグラフィは、パソコンやスマートフォンなどの心臓部として使用される最先端の大規模集積回路(LSI)の製造に使われている微細パターン露光技術。微細パターンを投影するレンズとフォトレジストの間を空気より屈折率の高い純水で満たすことでレンズの分解能を高め、それまでできなかった微細な線幅のパターン転写を実現する。

 今回の受賞対象であるトップコート材料は、フォトレジストと純水が直に接することで発生する不具合を防止するために、液浸露光を行う前にフォトレジスト上に塗布される保護膜材料。高い撥水性によりレジスト膜中への水の浸入を防ぐともに、ArF液浸露光ステージの高速安定動作も可能にする。

 フォトレジストを始めとする同社の長年のリソグラフィ材料開発の知見を活かして新規開発したフッ素アルコール含有樹脂を用いて設計したもので、十分な撥水性を持つだけでなくフォトレジストの現像に使われるアルカリ現像液への溶解性を付与することに成功した。これにより、フォトレジストのパターン現像と共にトップコート材料の剥離が可能となり、リソグラフィ工程の大幅な簡略化も実現した。

 

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