住友ゴム 天然ゴム資源としてロシアタンポポを研究開始

2015年08月06日

ゴムタイムス社

 住友ゴム工業は8月5日、より環境に配慮した高性能な商品提供を目指すため、従来のパラゴムノキ由来の天然ゴムに代わる、新たな天然ゴム資源として「ロシアタンポポ」に着目し、米ベンチャー企業であるカルテヴァット社(アメリカ・ミズーリ州セントルイス)とその実用化検討のための共同研究を開始したと発表した。

 同社では世界的な自動車保有台数の増加に伴いタイヤ需要が拡大する中で、一般的なタイヤで約60%を占める石油や石炭をはじめとする化石資源の使用比率を下げ、持続可能な天然資源の活用を推進することが非常に重要な技術テーマであるとしている。これまでにも持続可能な社会の実現を目指し、100%石油外天然資源タイヤや低燃費タイヤ、そして省資源につながるランフラットタイヤの開発など、環境負荷の低減に貢献できるタイヤの開発を推進している。2013年11月発売の世界初の100%石油外天然資源タイヤ「エナセーブ 100」では同社独自のバイオマス技術により原材料の全てを天然資源化することに成功した。またラベリング制度の最高グレード「AAA―a」を獲得した低燃費タイヤ「エナセーブ NEXT」では天然ゴムの高機能化を図った高純度天然ゴム(UPNR)を新開発するなど、天然資源由来原材料の活用および高機能化を促進してきた。

 一方天然ゴムの原産地は、現在アジアが世界の約90%を占めており、グローバルなタイヤ製造拠点の拡大を推進している同社にとって、輸送面での環境課題などを考慮すると、最適な需給状態にあるとは言えない。そこで今後グローバルで、より環境に配慮した高性能な製品提供を目指すべく、従来のパラゴムノキ由来の天然ゴムに代わる、新たな天然ゴム資源としてロシアタンポポに着目し、このたび、米ベンチャー企業であるカルテヴァット社とその実用化検討のための共同研究を開始した。カルテヴァット社は、バイオ燃料などの原料を植物から生産する高い技術を持ち、環境負荷が小さく、かつ持続性、収益性の高い植物の商業利用に豊富な経験を持っている。そのバイオマス技術と、同社がこれまでいち早く実現させてきた環境負荷低減技術や石油外天然資源化の技術を融合することで、新たな天然ゴム資源としてロシアタンポポの実用化を加速させることが出来るとしている。

 また、ロシアタンポポはパラゴムノキと異なり温帯地域で栽培が可能なため、北米をはじめとする世界の多くの地域で栽培が可能。同社ではロシアタンポポの共同研究により、天然資源の活用促進、原産地域の多様化により各製造拠点での安定的、効率的な調達を図り、より多くの顧客に環境負荷の少ない高性能タイヤを安定的に提供できることが可能になるとしている。

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