日本ゼオン 金額ベースで約6割に

2015年02月06日

ゴムタイムス社

 特殊ゴムの需要が拡大

 日本ゼオンの2015年3月期第3四半期連結決算は売上高が2325億3900万円、前年同期比4%増の増収となったが、営業利益は232億3600万円、同5%減の増収減益決算となった。

 高機能材料の光学フィルムが牽引し、販売数量が増えたほか、為替円安で輸出の手取り額が増加、為替差益も41億円のプラスとなった。営業利益はエラストマー素材の合成ゴム、ラテックスの収益悪化により減益となった。

 合成ゴムの売上高は973億円、同3%増と増収となり、「付加価値の高い特殊合成ゴムの伸長に加え、円安で金額べースが嵩上げされた」(南忠幸取締役常務執行役員)。営業利益は為替差益のプラス要因があったが、汎用合成ゴムの海外市況の悪化による販売価格の低下が響いたほか、ナフサ価格の上昇(前年同期比5%増)、シンガポールのS-SBRプラントの償却費負担がマイナス要因となり収益を圧迫した。

 合成ゴムの当期の販売数量は前年同期比4%減の22万6000t。このうち65%が汎用合成ゴムで、35%が特殊合成ゴム。汎用合成ゴムの販売数量は国内が同1%減、輸出が同18%減と海外販売が大きく落ち込んだことにより、汎用合成ゴム全体では前年同期に比べ8%の減少となった。    一方、特殊ゴムの販売数量は国内が同3%増、輸出同6%増、海外子会社同2%増と各市場で販売数量が増加し、特殊ゴム全体で同4%増と伸長。この結果、特殊合成ゴム比率は販売金額ベースでは同5%アップの58%となり、「特殊ゴムは自動車用部品での需要が増えたほか、アクリルゴムの統合シナジー効果も一部出てきた」(同)ことで約6割近くまでに高まった。

 合成ゴムの海外市況の悪化要因について、南氏は「アジア、ヨーロッパ地区を中心に景気がかなり後退してきているほか、過去の高めの在庫品調整や需要増を見越しての各社の増産投資による供給過多、加えて天然ゴム市況の下落に引きずられている面もある」と説明した。

 同社では第4四半期の前提条件として、為替を1ドル120円、国産ナフサ4万8000円/kl、アジア・ブタジエン800㌦/tと想定。合成ゴムの収益については「為替は現状、117円だが、このままの水準が続くと多少、減益の方向になる可能性がある。また、10月末の高いコストの在庫が残っているが、原料の価格が下がっているので、それに対応した形でフォーミュラーで価格を決定しているお客様の分については、連動した形で販売価格を決定する。基本的には損は出ないが、期ずれもあり、私どもが仕入れている在庫の対処が微妙に影響してくる。それらを計算すると、第4四半期はマイナスの方向にいく」と厳しい見方。

 また、償却費負担となっているシンガポールのS-SBRの稼働状況については、「立上げ当初から比べると少しずつ稼働が上がってきているが、完全フル稼働ではない。現在、国内外のタイヤメーカーの認証手続きがほぼ完了したので、これからフル稼働になっていくだろう。従って、今年度のシンガポールの会社の業績はまだ赤字が残る」と述べた。

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