信越化学 ベトナムにレア・アースマグネット工場を新設

2014年04月23日

ゴムタイムス社

 信越化学工業は4月21日、ベトナム社会主義共和国にレア・アースマグネットの製造工場を新設することを決定したと発表した。
 新工場の生産能力は年産2000トンで、設備投資額は約120億円。新工場は、信越化学のベトナムでの子会社であるシンエツ マグネティック マテリアルズ ベトナムが同国ハイフォン市に所有する土地に、2期に分けて建設する。2014年10月に着工し、第1期分は2015年9月に年産1000トン、第2期分は2016年9月に年産1000トンの工場が完成する予定。
 新工場建設の目的は二つあり、一つは生産拠点を複数化し需要家への安定供給を確保すること、もう一つは自動車用途を中心に拡大が見込まれる需要を着実に取り込んでいくこと。レア・アースマグネットの製造工程は、「焼結」と「加工」の二つの工程に大別されるが、これまで同社のレア・アースマグネットの生産拠点の中で焼結工程を有しているのは、福井県の武生工場の一拠点だけだった。今回ベトナムに新設する工場には、武生工場と同じく焼結工程を設ける予定で、同工程を複数化することでリスクの分散を図る。なお、新工場の建設により焼結工程の生産能力は1・5倍程度となる。
 同社は、2012年にベトナムにてレア・アースマグネットの主原料であるレア・アースの分離精製を行うシンエツ マグネティック マテリアルズ ベトナムを設立し、2013年に工場が操業開始している。
 新工場はこの分離精製工場に隣接し、同工場から原料の供給を受ける。そして、新工場で生産したレア・アースマグネットは、同社が東南アジア諸国に展開している各工場での加工を経て、需要家に出荷される。
 レア・アースマグネットは、ハイブリッド車をはじめとする自動車用途や、省エネルギー型のエアコン、ハードディスクドライブなど幅広い用途で使われている。同社では、世界中の需要家への供給体制を盤石なものとするとともに、大きな伸びが見込まれる需要を積極的に取り込み、事業の拡大を図っていく方針。

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