住友化学が九州大学と共同検証 KNNの光変調器で高効率等を実証

2026年09月29日

ゴムタイムス社

 住友化学は9月28日、九州大学と、KNN(ニオブ酸カリウムナトリウム)を光電融合、特にコパッケージドオプティクス(CPO)向け光変調器の基幹材料として活用する可能性を共同で検証し、高い光変調効率と180Gbaudの超高速動作を実証したと発表した。これにより、KNNが次世代の光電融合デバイスに向けた有力な材料の一つであることが示された。
 生成AIの普及により、様々な領域でデータ処理の高速化・大容量化が求められるなか、特に膨大な情報量を扱うAIデータセンターでは、電力消費や情報処理負荷が世界的に大きな課題となっている。こうした課題を解決する切り札として注目されているのが、光電融合技術となる。なかでも、電気信号を光信号に変換する光変調器は、CPOをはじめとする光インターコネクトに不可欠なデバイスの一つとして注目されている。一方で、現行のシリコンベースの光変調器では高速動作と低消費電力の両立に課題があり、これを打破する次世代材料が強く求められている。
 こうした課題に対応するため、同社と九州大学先導物質化学研究所の横山士吉教授らの研究グループは、KNNが高い電気光学特性を有し、光変調器に適した特徴を持つことに着目した。同社がKNN薄膜基板を作製し、九州大学がその基板を用いた光変調器デバイスの設計・作製および性能評価を担当する体制で共同研究を進めた。
 その結果、KNN薄膜基板を用いた光変調器において、180Gbaudの超高速動作を実証するとともに、変調効率を示す指標であるVπLは0・7Vcm未満を達成した。これは、次世代光変調器材料として研究開発が進むTFLN(薄膜ニオブ酸リチウム)と比較して約3倍の変調効率に相当し、KNNの有望性を示している。
 さらに、KNNは光変調器材料として高い性能を有するだけでなく、スパッタリング法による薄膜形成が可能で、既存の半導体製造プロセスとの親和性にも優れている。加えて、TFLN基板と比較して低コストで製造できると見込まれている点も大きな特長となる。同社は、圧電MEMS用途で培った量産スケールの製造技術を有しており、実用化に向けた製造面でも優位性がある。
 同研究成果は、スペインで開催された光通信技術に関する欧州最大級の国際会議「52nd European Conference on Optical Communications(ECOC 2026)」において、Post Deadline Paperとして採択された。
 これらの成果を踏まえ、同社と九州大学は、KNN薄膜基板を用いた光変調器の実用化に向けた取り組みを一層推進する。
 同社は、これからもKNNの新たな用途展開を積極的に推進するとともに、ICT技術の発展を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していく。
 九州大学は、総合知で社会変革を牽引する大学として、多様な知と人材を結集し、社会課題の解決と社会・経済システムの変革に向けた挑戦を続けていく。

KNN薄膜基板

KNN薄膜基板

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