東洋紡は6月26日、同社のコーポレート研究所シミュレーションセンター所属の住山琢哉(すみやまたくや)氏が、このほどプラスチック成形加工学会の第8回「若手奨励賞」を受賞したことを発表した。同社研究者が同賞を受賞するのは今回が初めてとなる。
プラスチック成形加工に関する研究発表や知識の普及などを行う同学会では、定期大会での研究発表や論文発表をはじめとする学会委員としてのさまざまな活動を通じて、プラスチック成形加工分野の発展に貢献した若手会員に対し、年に一度「若手奨励賞」を贈呈している。同社研究所員の住山氏は、長年にわたる同学会での精力的な活動と、このたび発表の「構造部材の設計に資するランダム配向型CFRPの曲げ強度予測モデルの開発」と題した研究内容が高く評価され、第8回「若手奨励賞」を受賞した。
住山氏による本研究は、自動車などの軽量化素材として使用されるランダム配向型の不連続炭素繊維複合材を対象として、その変形・破壊挙動(形の変わり方、壊れ方)を予測するシミュレーションモデルの確立を目的としたものである。本複合材を自動車部材に適用した際、横からの衝突に対してどのように変形して壊れるかについて、実機試験に依らずにコンピュータ上で高精度に予測することを可能にする。
これまで、本複合材のように短く切断された炭素繊維がランダムに分散している材料は、力を加える場所や方向によって硬さや壊れ方が異なるため、一般的な材料に比べてシミュレーションによる事前の変形・破壊挙動予測が難しいとされてきた。本研究では、力の掛け方によって壊れ始めるポイントが異なる点を考慮したモデルを設計するとともに、小規模な材料評価試験で得られた実測データを組み合わせることで、壊れ方の高精度なシミュレーション技術を実現した。
同社は今後、本研究で確立したシミュレーションモデルを活用し、ランダム配向型不連続炭素繊維複合材の性能をより分かりやすく示すことで採用につなげ、自動車分野の軽量化・安全性向上への貢献を目指す。また、ものづくり分野におけるシミュレーション技術の高度化を通じて社会課題の解決を図るとともに、学術分野で活躍できる専門性を有する若手人材の育成に取り組んでいくとしている。

