日本ゴム工業会第38回幹事会詳報 中東情勢緊迫化で原油・ナフサ価格高騰  国産ナフサ価格は10万円超の水準に

2026年06月29日

ゴムタイムス社

 日本ゴム工業会は6月5日、経団連会館で第38回幹事会を開催した。幹事会では、任期満了に伴い会長、副会長、常勤役員の選定を行うとともにゴム製品の生産および輸出入概況報告、最近の資材動向、労務委員会関係事項などが報告された。 冒頭、日本ゴム工業会の17代目会長に就任した田村亘之新会長(ブリヂストン取締役代表執行役 EAST CEO)が挨拶を行った。田村新会長は「長い歴史を有する日本ゴム工業会会長に就くことになり、光栄であるとともに身の引き締まる思いだ。清水隆史前会長をはじめとする歴代役員が築いてきた当会の基盤と功績に深く敬意を表するとともに、当会が志した歩みをしっかりと受け継ぎ、さらに発展させていくことが私の責務になる。副会長である西井英正理事、山石昌孝理事、國安恭彰理事の3人の副会長と力を併せながらゴム業界の発展に尽力したい」と就任の抱負を語った。
 田村新会長は「当会の活動は、これまでの取組みにより着実な成果が積み重ねられているものの、今後の持続的発展に向けてカーボンニュートラルへの対応や技能人材の育成をさらに進化させていく重要なフェーズに入っている。その一方で、ゴム産業を取り巻く環境はここ数年一層厳しさ、不確実性が増している」との認識を示し、昨今の中東情勢を起因としたエネルギー価格や原材料価格の変動、さらに原油ナフサの供給制約を背景とした合成ゴムを含む原材料の調達環境の不安定化を指摘。その他、国内では、少子高齢化による技能人材の確保、育成が引き続き重要な課題になっている他、物価上昇によるコスト負担が増大するなかで、ゴム産業を取り巻く環境は一層厳しさを増している。さらに、自動車業界においては電動化の見直しや調整が進む一方、ハイブリッド車の需要は順調に推移するなど、ゴム製品に求められる機能や価値は非常に多様化している点も説明した。
 こうした厳しい環境下、田村新会長は「我々ゴム産業にとってもこうした変化に対応することが求められているが、このような変化が必要な時代だからこそ、変化の中に必ずチャンスがあると私は考えている」と力を込め、「変化を力に技術と現場で価値創造を加速させ、会員各社が改善マインドとオーナーシップを持ち、主体的に挑み続けることで持続可能な産業基盤を時代につなぐことを基本に当会の運営にあたりたい」と挨拶を終えた。

原油価格 平均約82・8ドル
資材関係事項
 ◆原油価格の推移
 26年の原油相場の平均は、WTI(ニューヨーク先物相場)は1バレル82・8ドル、ドバイ原油(東京スポット相場)は1バレル92・8ドルとなり、25年平均と比べてWTIは18・0ドル上昇、ドバイ原油は23・3ドルとなっている。
 原油価格の推移をみると、25年は年初から米国の対ロシア経済制裁の強化などを背景に、WTIが75ドル、ドバイ原油が80ドル台でスタートした。その後は米国の関税政策などによる世界経済の減速懸念、ロシア産原油の供給増加の観測などを受けて下落に転じた。
 一方、26年に入ると米国のベネズエラ侵攻、イスラエルと米国によるイランへの軍事侵攻に伴う中東情勢の緊迫化を起因とするホルムズ海峡の封鎖を受けて、原油価格は急騰した。特に3月はドバイ原油は126ドルまで大きく上昇した。一方、WTIも3月に91ドルに上昇。その後も上昇が続いており、直近の5月15日時点で100ドル35セントに高騰している。

 ◆ナフサ価格の推移
 ナフサ価格の推移をみると、東京オープンスペックは25年1月に7万600円まで上昇した後、原油価格と同じ動きを示し、5月には5万7800円まで下落。その後は6万2000円前後で推移してきた。26年に入ると原油価格の動きにつれて一気に上昇し、4月には12万円近くまで急上昇した。直近の5月15日現在では11万円と若干低下したが、非常に高い価格にある。
 輸入ナフサ価格についても25年は6万円台で推移していたが、26年に入ると徐々に上昇し、3月には6万6000円超、直近の4月(速報値)は10万円を超える水準に高騰している。このような輸入ナフサ価格の高騰を踏まえ、国産ナフサ価格は10万円を超えるレベルで推移することが予想されている。

 ◆天然ゴム価格と在庫の推移
 天然ゴム(RSS♯3)の動向については、米国と中国の貿易摩擦の激化に伴う需要減少懸念、世界経済の減速懸念を背景に、25年はJPX相場当限、JPX相場先限とも300円台前半で推移していた。26年に入ると、産地の天候不順による供給不足懸念により上昇が進んだ。さらに、中東情勢の緊迫化に伴い、合成ゴム価格の上昇により天然ゴム相場も上昇。26年5月15日時点でJPX相場当限が400円、JPX相場先限が414円30銭まで上昇している。
 生ゴム営業倉庫在庫については、25年5月に9207tを示していたが、12月には4174tまで一気に減少。しかし、その後は若干増加して直近の5月15日時点では7142tまで増加して推移している。

 ◆日銀企業物価指数の動向
 20年を100とした主要原材料の日銀企業物価指数の26年の動向を見ると、天然ゴム(203・1)、合成ゴム(159・2)、無機原料(酸化チタン・酸化第二鉄、カーボンブラック)(141・3)、ナフサ(国内価格)(242・4)、ブタン・ブチレン・ブタジエン(259・8)、スチレンモノマー(238・9)などとなった。
 このうち、25年比で上昇した品目・サービスは6品目となり、3品目が下落した。原材料では天然ゴムが25年比でプラス4・2ポイント、ナフサ(国産価格)が同34・7ポイント、ブタン・ブチレン・ブタジエンは同60・1ポイント、スチレンモノマーは同50・2ポイントとの上昇となった。いずれの指数も200を超えており、とくにナフサ(国産価格)、ブタン・ブチレン・ブタジエン、スチレンモノマーは価格が急上昇している。
 企業向けサービスの一つである道路貨物輸送は25年比プラス2・4ポイントと上昇が続いている。
 ◆ゴム製品の生産・輸出入概況
 経済産業省の生産動態統計によると、26年3月の生産数量伸び率は自動車タイヤが前年同月比3・4%減、ゴムベルトが同16・0%増、ゴムホースが同10・7%増、工業用品が同2・7%増となった。
 自動車タイヤについては、特殊車両用が3月まで5ヵ月連続で前年同月を下回っている。乗用車は26年1月以降3ヵ月連続のマイナス。トラック・バス用は26年2月以降2ヵ月のプラス、二輪車用は25年10月以降5ヵ月連続のマイナスとなった。
 ゴムベルトは、ゴムベルトは26年1月以降3ヵ月連続のプラス。コンベヤベルトは月により増減はあるものの、25年は全般的にマイナス基調で推移した。なお、3月は同17・7%増と2割近いプラスとなった。
 ゴムホースは、主力の自動車用は25年6月以降、前年を上回る状況で推移しており、3月は同12・8%増となった。高圧用も全般的に前年同月比プラスで推移。3月は同6・2%増となった。
 工業用品では自動車生産と相関性の高い防振ゴム、パッキン類、スポンジ製品のうち、パッキン類はマイナス基調で推移しているが、26年3月は同1・8%増と3ヵ月ぶりのプラス。防振ゴムの3月は同2・5%増と6ヵ月ぶりのプラス、スポンジ製品は25年12月から4ヵ月連続で前年同月を上回った。
 履物類については、ゴム底布靴、総ゴム靴・その他ゴム製履物ともマイナス基調で推移する。ゴム底布靴の3月は同15・8%減で3ヵ月連続の減少。総ゴム靴・その他ゴム製履き物の3月は同15・0%減で12ヵ月連続で前年同月を下回った。
 ゴム製品の輸出入状況(財務省貿易統計)によると、ゴム製品の輸出額は、25年以降比較的安定して推移しているが、一昨年、昨年と比べると伸び率の上下幅が大きくなっている。なお、26年1~3月の輸出総額は2782億200万円で前年比2・2%減となっている。
 また、ゴム製品の輸入額の推移をみると、ゴム輸出額以上に伸び率の振れ幅が大きい傾向にあったが、25年半ばから振れ幅が小さくなってきた。26年1~3月の輸入総額は1816億6800万円で同6・6%増となった。製品別では全16品目中9品目が前年を上回った。伸び率ではゴムホース(11・1%)、ゴム底布靴類(9・9%)、自動車タ・チ(9・6%)、気泡ゴム製品(8・5%)、ガスケット類(7・3%)、その他製品(4・6%)となった。

[/hidepost]

全文:約3531文字

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー