横浜ゴムは4月30日、同月に、シミュレーション(FEM、有限要素法)とAI技術を融合したタイヤの金型設計支援システムを独自に開発したと発表した。
これにより、技術者の知識や経験を補う情報(金型設計因子の変更に伴うタイヤ特性の変化傾向)が膨大な仮想実験に基づいて得られるため、経験の浅い技術者でも金型設計が容易になり、開発スピードの向上やコスト削減に加え、手戻りの少ない金型設計を実現する。さらに、金型設計因子とタイヤ特性の関係を多角的に把握することで、新たな気づきやひらめきが得られ、より高性能な商品の開発が期待できる。
今回のシステムは同社が2020年10月に策定したAI利活用構想「HAICoLab」に基づき、開発プロセスのさらなる革新を目指して開発した。タイヤの特性を左右する金型設計において、従来は金型設計因子とタイヤ特性の関係を把握するために、試作・評価による試行錯誤が必要であり、多大な時間とコストを要していた。また、経験豊富な技術者の知見に頼る部分が多く、金型設計の精度や所要時間に個人差が生じるといった課題があった。
同システムは、これらの課題を解決するために「シミュレーションの自動化」と「AIによる予測・可視化」を組み合わせている。まず、金型形状を変化させた多数のタイヤFEMモデルを自動で生成し、仮想空間上でタイヤ特性の計算を一括実行する。次に、その計算結果を学習データとして、金型設計因子とタイヤ特性の関係を瞬時に予測するAIモデル(サロゲートモデル)を構築する。このAIモデルにSHAP(SHapley Additive exPlanations)やPDP(Partial Dependence Plot)などのXAI(eXplainable AI=説明可能なAI)技術を適用し、金型設計因子がタイヤ特性に与える影響を定量的に可視化することで、技術者は「どの金型設計因子をどれだけ変更すれば目標特性を達成できるか」という明確な指針を容易に得ることができる。
同社はこれまで、タイヤの特性値予測システム(2021年)やタイヤの設計支援システム(2024年)を通じて、技術者が設計指針を容易に得られる環境を整備してきた。今回開発したタイヤの金型設計支援システムは、それに続く「HAICoLab」に基づく取り組みとなる。今後もこうした開発環境のさらなる充実を推進することで、革新的なタイヤ開発を加速していく。
2026年05月07日
