旭化成のPOM(ポリアセタール樹脂)「テナック」は、ホモポリマーのテナック(単量体のホルムアルデヒドのみ)とコポリマーのテナック‐C(オキシエチレン単位を含む)の両ポリマーを独自技術で生産している。
25年度の販売数量をみると、テナック(ホモポリマー)は、供給可能量の問題により大きな変動はないが、グローバルで堅調な販売を維持した。一方、テナック‐C(コポリマー)は、中国政府が日本・米国・台湾から輸入されるPOM共重合体に対し、反ダンピング関税をかけたことに加え、中国市況の悪化などを要因として、販売数量は前年度を下回る厳しい環境に置かれている。
分野別にみていくと、テナックは自動車向け、非自動車向けとも堅調に推移したのに対し、テナック‐Cは、中国国内の市況悪化を背景に自動車向け、非自動車向けとも低調な販売となった。
製品展開では、テナックは車載向けを中心とした高負荷ギア用途に注力している。高負荷ギア用途では、従来のウィンドウやワイパー用途に加えて、「現在はブレーキ関係やステアリング関係のギアにも注力すべく採用に向けた活動を加速している」(同社)。具体的には、高機能ギア向けのグレード「MG210」を基軸に、顧客ニーズに対応できるような拡販策を推進している。MG210は、耐クリープ特性や疲労特性といった耐久性をさらに向上させたグレード。特に、高荷重下、高トルク下において高い耐久性が求められる歯車用途に適した材料となっている。
テナック‐Cは、低VOCグレードや耐衝撃性向上グレードに加え、バインダーの開発と拡販を実施しており、耐衝撃性グレードやバインダーは今後収益に大きく貢献するものと期待している。
このうち、バインダー用途では、25年度から金属粉末射出成形(MIM)のバインダー用途の販売をスタートした。MIMバインダー用途は、金属との混練時の分散性が良好かつ焼結時のボイド(成形時の中に泡のような空洞が発生すること)が少ない点を特徴とする。「MIMバインダー用途は、スマホ向けなど精密電子部品への採用が増えており、26年度も引き続き採用が拡大する」(同社)とみている。
中東情勢の緊迫化に伴う、同社のPOM(テナック、テナック‐C)の影響については「あらゆる主原料が中東情勢の影響を受けており、中期的な供給は不透明な状況にあるが、現時点(4月初旬)時点で影響を受けている品目はないと認識している」(同社)と話す。 一方、サプライチェーンが比較的長い副資材関係(包装資材や化合物など)の影響はこれからと認識し供給面への影響を継続していくとしている。
26年度のPOM(テナック、テナック‐C)の需給見通しについては、「中東情勢が先行き不透明となるなかで、テナックの需要動向は今後なんらかの影響があるとみているが、現時点では予測できない状況。主原料や副資材関係の供給状況を引き続き注視していく」(同社)としている。
2026年04月27日
