ダイセルが長瀬産業と協業開始 設計者CAE活用促進を支援

2025年06月18日

ゴムタイムス社

 長瀬産業とダイセルは6月16日、製造現場の混合・撹拌工程における「設計者CAE(Computer Aided Engineering)活用」促進を支援する取り組みとして、長瀬産業が開発した流体解析ソフト「ミキシングコンシェルジュ」をダイセルグループの製造拠点に導入し両社での協業を同月より開始したと発表した。
 ダイセルではこれまで、社内の流体解析専門部門がグループ製造拠点の技術課題や相談に対応してきた。しかし、製造拠点が全国に分散するなかで、各工場特有の課題や設計支援のニーズが集中し、専門部門の負荷が高まるという課題を抱えていた。こうした課題に対し、現場の担当者が自らCAEを活用できる体制の構築が必要となっていた。
 今回ダイセルが導入した「ミキシングコンシェルジュ」は、長瀬産業が自社開発した混合・撹拌工程に特化した流体解析ソフトとなる。汎用流体解析ソフトと比べて操作が簡単で、導入時の負担も少ない点が特徴。ソフトには、実際の製造現場で使用される形状モデルが整備されており、解析の専門知識を持たないエンジニアでも直感的に操作することが可能。これにより、現場の設計者や製造担当者が自らCAEを活用し、業務に即した設計・改善を進めることができる。
 国内に複数の製造拠点を持つダイセルにおいては、現場の従業員自らが解析に取り組む CAEの実践を後押しするものであり、また各拠点特有の課題に対して現場主導で柔軟かつ迅速に対応できる点が評価され、「ミキシングコンシェルジュ」の導入にいたった。
 まず、ダイセル大竹工場、新井工場の新規開発案件に導入し、将来的にはダイセルの主力製品であるセルロース誘導体や、機能性高分子の生産に展開を予定している。
 また、長瀬産業では、解析結果をもとにした製造工程の最適化に関するコンサルテーションも並行して行い、製造現場での業務効率と製造プロセス全体のDXを推進していく。
 両社は今後、導入の成果をもとに、さらなる活用領域の拡大と解析機能の高度化を視野に入れた取り組みを進め、モノづくり現場におけるDX推進に貢献していく。
 具体的な取り組み内容は、機能性樹脂やセルロース誘導体などのプロセス設計における初期段階からの混合・撹拌工程の流体解析支援、設計者による自律的なCAE活用の促進、試作回数の削減と開発リードタイムの短縮、製品品質の安定化とプロセスの最適化となる。

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