三井化学と萩原工業は5月13日、リサイクルプラスチックの粘度を均一化する共同開発を行い、技術検証に成功したことを発表した。
リサイクルプラスチックはその中に含まれる廃プラスチックの品質ばらつきの影響を受け、粘度が均一にはならず、歩留まりの悪化や低品質の用途にしか展開出来ないという問題を抱えている。本問題を解決すべく三井化学と萩原工業は、三井化学と長岡技術科学大学が共同開発したインライン粘度計測技術を、リサイクルペレット押出機に実装し、粘度を均一化する共同開発に取り組んできた。
三井化学は、社会課題解決への貢献とその取り組みを原動力とした持続的成長の実現を目指し、環境と社会の持続性を高めるサーキュラーエコノミーへの転換の実現を目指す取り組みを推進している。その取り組みの一環として、廃プラスチックの粘度をリアルタイムで計測可能なインライン粘度計を用い、リサイクルプラスチックの粘度を制御する「タンデム押出機による粘度均一化技術」を長岡技術科学大学と開発した。
萩原工業は、国内ブルーシート製造のトップシェアを誇り、持続可能な社会の実現を目指し、2021年から国内初の取り組みとして、使用済みのブルーシートを原料として新たなブルーシートを製造する水平リサイクルプロジェクト「Re VALUE+(リバリュープラス)」を行っている。しかし、回収時における他社品の混入や異物の付着によって、リサイクル材の品質低下、ひいては水平リサイクル品へのリサイクル率の制限が発生している。そのため、萩原工業は、保有する産業機械製造技術を応用した、高度な洗浄技術・装置開発や異物除去機能の高い(高度濾過)造粒装置、樹脂粘度を調質・改質する技術を開発して、リサイクル材の品質を改善し、更なるリサイクル率の向上を目指している。
三井化学と萩原工業はこの技術をさらに発展させ、1台の押出機で粘度均一化出来る方法を実用化し、高品質なマテリアルリサイクルの普及と、それを通じたサーキュラーエコノミーの推進を目指している。
技術検証の内容は、三井化学のインライン粘度計および粘度均一化技術の制御理論を、萩原工業のリサイクルペレット押出機に組み込み、実証実験を進めた結果、粘度を目標値に制御出来ることを確認した。この技術により、廃プラスチックの使用比率を一定に保ったままリサイクルプラスチックの粘度を均一化することができ、歩留まりの改善、および品質の向上が可能となる。