帝人の25年3月期連結決算は、売上高が1兆54億7100万円で前期比4・7%増、営業損失は718億2800万円(前年同期は49億1200万円の損失)、税引前損失は780億3800万円(前年同期は51億3800万円の損失)、親会社の所有者に帰属する当期利益は283億4700万円(前年同期は117億1200万円の損失)となった。
マテリアル事業領域は、売上高が4593億円で同4・6%増、営業利益は60億円(前期比78億円の増益)。複合成形材料事業での収益性改善効果の発現と減損処理等に伴う償却費減少影響やアラミド事業および樹脂事業での販売量増加などが収益に貢献。一方、アラミド事業や炭素繊維事業での競争激化による販売価格の低下影響およびアラミド事業での前期に計上した保険金収入剥落の影響を受けた。
アラミド事業では、原燃料価格の低下や競争激化の影響で一部の用途において販売価格が低下したほか、前期に計上した火災保険金収入分が剥落したことなどが減益要因となった。一方、自動車用途や防弾・防護用途での販売量の増加や原燃料価格低下によるコスト減などで一部相殺した結果、前期比減収・減益となった。
樹脂事業では、主力のポリカーボネート樹脂において、中国での低調な景気継続等により全般的に需要が低迷したものの、一部用途においてサプライチェーン上での在庫調整が緩和し販売量が増加した。一方、競争激化の影響から販売価格が低下し、スプレッドも若干低下した。結果、前期比増収・増益となった。
炭素繊維事業では、汎用品を中心とした競争の激化により産業用途等で販売量が減少し、販売価格も低下した。一方、航空機向け用途は、サプライチェーン上での調達制約の影響を受けながらも、堅調な旅客需要を背景としてビルドレートが上昇し、販売量は増加した。結果、前期比減収・減益となった。
複合成形材料事業では、販売価格改定、コスト削減等の収益性改善施策の発現、固定資産の減損処理に伴う償却費減等により、前期比増収・増益となった。
ヘルスケア領域は、売上高が1370億円で同5・3%減、事業利益は57億円で同68・7%減だった。
26年3月期の連結業績予想は、売上高が8600億円で前期比14・5%減、営業利益は200億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は120億円で同57・7%減を見込んでいる。