東洋紡せんいが繊維複合糸開発 高強度とコストパフォーマンスを両立

2025年05月12日

ゴムタイムス社

 東洋紡せんいは5月9日、独自の複合紡績糸技術を応用し、ガラス繊維と熱可塑性ポリプロピレン繊維を複合することで高強度とコストパフォーマンスを両立した熱可塑性ガラス繊維複合糸「GfC yarn」を新たに開発したと発表した。
 昨年開発した熱可塑性炭素繊維複合糸「CfC yarn」シリーズに続く新たな展開として、同製品を5月14日~16日までインテックス大阪で開催される「第5回サステナブルマテリアル展」の同社ブースで公開する。
 同社は近年、衣料繊維事業で長年培った技術を応用することで、産業用途向け新製品の開発に注力している。
 昨年、異素材を組み合わせて相互の特性を生かす独自の複合紡績糸技術を駆使することで、炭素繊維と熱可塑性繊維を複合した熱可塑性炭素繊維複合糸「CfC yarn」を開発した。炭素繊維と熱可塑性樹脂を三層構造で組み合わせることで、高い強度を得るのに必要な複合樹脂の優れた含侵性と、柔らかな糸の風合いにより、用途に応じて多様な形状・デザインへの賦形性を実現。熱可塑性炭素繊維複合材(CFRTP)向け中間基材として、航空、自動車、土木建築用資材など、耐衝撃性、耐候性、耐熱性や軽量性などが求められる幅広い用途向けに提案を進めている。
 このたび新たに開発した「GfC yarn」は、炭素繊維よりもコスト面で有利なガラス繊維を複合材料に採用。「CfC yarn」と同じ三層構造により、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂と組み合わせることで優れた含侵性を有しており、高い強度とコストパフォーマンスの両立を図った。また、ガラス繊維複合材(GFRP)向け中間基材として、組みひもやUDシート、ニットなどへ加工でき、球体やパイプ型など複雑な形状にも対応可能。
 さらに、熱可塑性であるため、長期保存や再成形が可能で、生産性や環境負荷軽減にも配慮した。
 今後、自動車部材や建材、様々な用途の補強材料などで、現在主流の熱硬化性ガラス繊維複合材の代替として積極的に提案し、2026年度中の実用化を目指す。
 同社は今後も、独自の複合紡績糸技術を応用することで、耐熱性、耐薬品性や寸法安定性など、顧客のニーズに対応する強化繊維複合材の新規開発とラインアップの拡充に努めながら、産業用途向け繊維事業の強化を進めていく。

GfCヤーン

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