東レ入社式で大矢社長が講話 「夢」と「高い志」を持って

2025年04月02日

ゴムタイムス社

 東レは4月1日、静岡県三島市の東レ総合研修センターにおいて、同社の2025年度入社式が執り行われたと発表した。
同社代表取締役社長大矢光雄氏の講話要旨は以下の通り。

 学生生活を終え、今日から社会人として新たなスタートを切られる皆さんに対し、心からお祝いの言葉を述べたい。これからの皆さんの活躍を大いに期待するとともに、東レおよび東レグループ全世界の約4万9千人の社員を代表して心から歓迎する。
 東レは1926年に創業し、合成繊維のリーディング・カンパニーとして歩むとともに、現在では、樹脂・ケミカル、フィルム、炭素繊維複合材料、電子情報材料、医薬・医療、水処理・環境といった事業分野を次々に開拓してきた。売上収益 約2・6兆円、国内外に306 のグループ企業を持ち、従業員約4万9千人を擁するグローバルな総合化学企業である。
 東レの企業理念は、「わたしたちは新しい価値の創造を通じて社会に貢献します」であり、自らのコア技術を強みとした研究・技術開発により、環境問題や健康長寿といった地球規模の課題の解決に貢献する製品を生み出し、世の中に提供することが東レの使命である。
 長期的視点を持って研究・技術開発を粘り強く続け、製造、販売、技術、研究が一体となり社会の持続的発展に貢献していくことによって、会社としても持続的な成長を達成していくことが極めて重要である。
 この東レという会社は、諸先輩方を含めた東レ社員が長い歴史の中で誇りを持って築き上げてきたものであり、これらの「東レ流の経営」を「東レ理念」として体系化している。
 今日から東レ社員となる皆さんにも、この東レの経営理念、事業運営方針、そして文化・伝統からなる「東レ理念」をよく理解し、しっかりと身につけ、自分ごととして担当業務で実践してほしい。

 東レグループの使命は、世界が直面する「発展」と「持続可能性」の両立をめぐる地球規模の課題に対し、革新技術・先端材料の力で、本質的な解決策、ソリューションを提供することである。社会や環境に貢献し、事業拡大を通じて人も会社も成長する「真にサステナブルな会社」となることを目指しており、それを実現するためには3つの条件が必要である。
 一つ目は、すべてのステークホルダーに対する企業価値を高めること。お客さま・取引先の皆さま、株主や投資家の方々、社会や地球環境といったすべてのステークホルダー、従業員に対して高い価値を提供することが重要である。
 そのためには、二つ目の条件として、持続的な成長と改革で常に高収益を生み出す企業であることが欠かせない。私たちは、常に高収益を上げて、ステークホルダーに価値を提供し評価してもらい、その対価として資金や人材などの経営資源を確保するという、「価値の好循環」を築き上げることを目指している。
 そして三つ目に、その価値を生み出す原点としての「先端材料開発力」であり、その開発力・技術力を、高品質の製品を安定的に生産するエンジニアリング力に加え、お客さまにとっての価値につなげるソリューション提案力とバリューチェーン構築力によって、成長ストーリーへとつなげ、高収益事業にしていくことが必要である。
 私を含む東レの経営陣・社員全員が、「どうすれば東レの企業価値を高められるか。」を常に考えて行動することが重要であり、皆さんにもぜひその一翼を担ってもらいたい。

 新入社員の皆さんに期待することの一つ目は、「夢」と「高い志」を持ち、成長を重ねること。
 私の座右の銘に、次の言葉がある。「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に夢なき者に成功なし。」
 「夢」という言葉を自分にとっての「ありたい姿」に置き換え、現状と比較することでそのギャップを自覚し、自分にとっての課題を克服するための目標が明らかになる。一つの目標に向かってチームが一つになって全力で進む「一体感」や、目標を達成した時に全員でそれを喜び、称え合う「達成感」は、何事にも代えがたい大きな喜びであり、「社員ひとりひとりの幸福度」を向上させ、人と会社の両方を成長させるエネルギーとなる。東レという会社を人生の舞台にして、自分の「夢」に向かって挑戦することによって成長を重ね、大いに活躍することを願っている。
 二つ目は、「失敗を恐れず挑戦」し、「考え抜き、やり続ける」ことにより、各分野で「第一人者・専門家」になること。
 業務の基本動作や基礎知識を身に着けた上で、失敗を恐れることなく、チャレンジ精神を持って挑戦してもらいたい。今後の会社人生において、さまざまな難局が待ち構えているかもしれないが、考え抜き、やり続けることにより、絶対に逃げることなく立ち向かってほしい。難局が大きいほどチーム全員で立ち向かう「充実感」や、試練を克服し目標を達成した時に得られる「達成感」はより大きくなる。皆さんが仕事を通じて早く成長し、各分野で「第一人者・専門家」となって活躍することを期待している。
 三つ目は、「社会的責任」を自覚し、高い倫理観と強い責任感を持って行動すること。
 東レは企業の社会的責任を非常に重視しており、創業以来、「企業は社会の公器であり、その事業を通じて社会に貢献する」との経営思想のもと、社会から尊敬される企業体として存在することを目指してきた。東レにとって、いつの時代も、「安全・防災・環境保全・コンプライアンス」は、すべての経営課題に優先する最優先の課題である。
 不正を起こさないためには、社員ひとり一人の強いコンプライアンスの「意識」と、正しい「知識」、そして、迷わず相談できる「コミュニケーション」が重要である。また、この「コミュニケーション」の重要性は、コンプライアンスに限ったことではない。何か困難な問題に直面した時や悩んだ時は、決して一人で抱え込まず、まずは周囲の同僚や先輩や上司に相談してほしい。
 自分の意見や考えを安心して表現できる「心理的安全性」の高い職場風土を育むことが大事であり、立場の上下に関わらず、皆さんを含む社員ひとり一人が、正々堂々と自分の疑問や意見をぶつけ合うことによって組織が活性化し、それが課題解決や不正防止にもつながる。
 これら三つのポイントをしっかりと胸に刻み、健康で 明るく 前向きに頑張って、東レグループ社員としてモチベーションを高く持ち、自らのポテンシャルを最大限発揮し、有意義な会社生活を切り開いてほしい。

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