東洋紡エムシーは2月18日、大手特殊高分子材料メーカーAvient Corporation傘下のAvient Protective Materialsとの間で、日本国内における超高分子量ポリエチレン(HMPE)繊維を用いた浮体式洋上風力発電用係留索の市場拡大を目指して、協業体制を構築するための基本合意書を締結したことを発表した。
洋上風力発電設備には、風車の支柱を海底に固定する着床式と、風車を海に浮かべて係留索で海底とつなげる浮体式がある。着床式は水深が浅い海域に、浮体式は水深が深い海域に適しており、遠浅の海域が少ない日本では浮体式の導入が期待されている。
同社は、2024年8月27日開示資料の通り、同年7月より、大林組が青森県沖の実海域で実施する浮体式洋上風力発電施設のテンション・レグ・プラットフォーム型浮体設置実験に参画し、HMPE繊維を用いた係留索の実用可能性を検証中。一方、APMは、Wind Float Atlantic(ポルトガル)やKincardine(スコットランド)などすでに商用稼働しているプロジェクトに加え、欧州においてHMPE繊維製の係留索を使用した複数の実証実験に参画し、実用化に向けた知見を蓄積している。
HMPE繊維は、ポリエステルやナイロンといった他の合成繊維に比べて高強度かつ軽量であり、浮体式風力発電施設の係留索に用いることで、施工やメンテナンスを含む浮体の係留にかかるコストの低減が期待されている。HMPE繊維で実績を有する両社の知見を合わせることで、日本におけるHMPE繊維製係留索の市場拡大を目指すとともに、洋上風力発電の普及に貢献していく。