年頭所感 住友ゴム工業 山本悟代表取締役社長

2025年01月03日

ゴムタイムス社

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は、景気動向や地政学的リスクなど不確実性が高い状況が続く中、インフレ影響などによる市況停滞もあり、私たちを取り巻く事業環境は決して楽観できるものではありませんでした。このような環境下で、私たちはグループを挙げて中期計画の着実な実行と収益改善に取り組み、それぞれ前進させることができました。構造改革では、欧州医療用ゴム事業と国内フィットネス事業の売却を完了し、最重要課題の北米事業収益改善については、米国タイヤ工場の生産終了と閉鎖を決定しました。成長事業の基盤づくりでは、当社独自の技術やノウハウを活かし、具体的に新たな商品・サービスを展開できました。

  一方、当社を取り巻く環境は、ますます変化が激しく、市場での競争は厳しくなっています。自動車産業では、EV化が進み、消費者の志向も環境配慮やインプレ影響などで目まぐるしく変化しています。こうした環境下にあっても、当社の強みを活かし、競争に打ち勝っていくため、引き続き中期計画を推進し、事業ポートフォリオの最適化を通じた経営基盤強化と成長事業拡大にスピード感を持って取り組みます。そのために、本年の全社方針は次の3点とします。

 第一の方針は「中期計画を着実に実行し、成長に向けた活動に舵を切ろう」です。

 本年は、中計計画におけるターニングポイントと位置付けており、目標年度とする2027年までの中間に当たります。 本年中に構造改革対象事業すべての目途付けを完了させ、その成果を含め2027年経営目標の前倒し達成を目指します。 まずは、残った構造改革事業の目途付けと各事業の課題対応、ならびに構造改革で生み出されたリソースを注力領域・ 成長事業に振り向けていくことに取り組みます。また、今年は国内の基幹システムを刷新します。業務効率化と情報一元管理を実現し、部門間の連携強化やデータの透明性を高め、迅速な意思決定につなげます。海外グループ会社への展開も計画しており、全社でDX経営を推進していきます。

 第二の方針は「全社でイノベーションを生み出し、競争力を強化しよう」です。

 当社が、ものづくりの企業として競争力を強化していくためには、イノベーションを生み出すことが重要です。タイヤにおけるアクティブトレッド技術の進化と海外市場への新商品投入、タイヤから得られるデータ活用を通じた顧客課題を解決するコト売りの具現化、第四の柱と位置付けるセンシングコア事業における未来のモビリティ社会実現に向けた新たな取り組み、ゴルフ事業のグローバルトップ3入り、テニス事業を通じたブランド価値向上、産業品事業でのメディカルラバーや制振ダンパーの成長など、イノベーションを進展させていきます。加えて、研究段階にあるがん細胞吸着キットや次世代硫黄系電池の事業化、ゴム会社ならではの技術、ノウハウを活かした新たな事業やサービスの開発、さらにはDX 推進による業務の効率化・高度化、サステナビリティ経営における脱炭素施策の加速や循環型社会の形成に向けた「TOWANA(トワノワ)」の具現化も進めます。

 第三の方針は「多様な社員が力を合わせ、果敢に挑戦できる組織にしよう」です。

 さらなる成長のためには、多様な価値観をお互いに尊重し、自由闊達な意見を言い合える職場環境・組織にしていくことが重要です。2020年にスタートした Be The Changeプロジェクト (BTC活動)を通じ、組織体質改善と Our Philosophy浸透活動を継続的に行っています。この活動の一つである語る場は、昨年から海外でも行っており、社員の皆さんに直接思いを伝え意見交換ができる非常に有意義な場となっています。これらの活動に加え、グループ全体でDE&Iに取り組みます。社員が活き活きと働き、それぞれの力を存分に発揮できる、果敢に挑戦できる組織、社員の思いをひとつにし、力を合わせチームで成果を上げていく組織作りを推進します。

 これらの方針に基づき、中期計画目標を前倒し達成し、さらなる成長を目指して邁進してまいります。

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