フラーレン事業合弁契約 デンカ、三菱商事と締結

2024年04月25日

ゴムタイムス社

 デンカは4月24日、三菱商事と同社が、炭素の先端素材であるフラーレン事業に関する合弁契約を締結したと発表した。同契約に基づき、同社はフラーレンの製造販売事業を行うフロンティアカーボン(FCC社)の株式50%を三菱商事より取得し、FCC社を共同で運営する。
 フラーレンは、炭素原子がサッカーボール状の構造を持つ、ナノメートルレベルの分子。優れた電気特性や熱安定性を備え有機溶媒に溶けることから、有機薄膜太陽電池の発電層として活用されている。また、次世代太陽電池として注目されている、ペロブスカイト太陽電池の材料としての活用も検討されている。スマートフォンなどに用いられる各種センサーの材料としても注目を集めており、今後も新たな用途への展開が見込まれている。
 三菱商事は、2001年にFCC社を設立して以降、長期にわたる顧客との技術協議や販売ネットワークの構築を通じ、産業用フラーレンの市場を開拓してきた。また、フラーレン物質特許など多数の特許を有しており、多様な産業に携わる総合力を活かして、今後もFCC社の更なる成長に寄与していく。
 また、三菱商事は、「中期経営戦略2024」で「EX戦略」を掲げ、素材などのシーズとニーズをつなぐことで産業全体の低・脱炭素化を推進することを目指しており、フラーレンを通じたソリューションの提供で、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していく。
 同社は、高純度で優れた導電性を有する炭素素材であるアセチレンブラックの量産実績から、これまで培ってきたカーボンナノ材料の知見や製造技術をフラーレン事業に応用しFCC社の更なる発展を支えるとともに、同社が保有する製造設備などのユーティリティを活用することで、事業インフラの構築も支援する。これにより、同社はカーボンナノ材料マーケットでのプレゼンス向上を図り、同分野での事業拡大を進めていく。
 また、フラーレンは電子部品・バイオ医薬分野など多岐に渡る幅広い産業分野で使用が検討されており、同社が経営計画「Mission2030」で注力分野として掲げるICT&Energy、Healthcare、Sustainable Livingの各分野への貢献も大きく図れるものと考えている。
 三菱商事と同社は、販売と技術開発の両面でそれぞれの知見や強みを掛け合わせ、フラーレンの普及を推進するとともに、用途市場の立ち上がりによるフラーレン需要増に応えるため、生産増強体制の構築を目指すことで、FCC社の事業を通じて社会課題の解決に取り組んでいく。

フラーレン使用有機薄膜太陽電池

フラーレン使用有機薄膜太陽電池

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