住友化学、国内6工場のシステム刷新 「スマート設備管理」の実現へ向け

2024年03月12日

ゴムタイムス社

 住友化学は3月11日、国内6工場における設備管理体制を刷新したと発表した。設備管理システムを共通化し、予算・購買データなどを管理する基幹業務システム(ERP)と連携させることで、メンテナンスに関わる幅広い業務の一元管理と、設備導入から廃棄までの「ヒト・モノ・カネ」のデータ蓄積が可能となる。今後、同システムを基盤として、より高度なデータ活用を進めることで、設備設計の最適化、トラブル予知・回避など「スマート設備管理」の実現を目指す。
 近年、製造設備の高経年化や労働人口の減少などの社会課題が顕在化するなかで、設備管理の分野では、安全・安定操業の維持やメンテナンスコスト最適化、現場作業のノウハウ継承などが急務となっている。同社は、こうした諸課題に対し、デジタル革新による解決を目指して、国内共通の設備管理システムを導入した。
 新システムでは、ERPと連携することでメンテナンス工事の計画から購買発注、施工までシームレスな業務管理を実現した。情報共有や履歴検索の効率化により、設備管理担当者の業務全体の約7割に当たるデスクワークを対象に大幅な負荷低減を達成する。さらに、データ蓄積・参照が容易になったことで工場・プラント単位の故障リスクや保全コストをリアルタイムに把握でき、短期的には迅速なトラブルシューティングや保全計画の軌道修正、中長期的にはデータに基づく適切な投資判断へ結び付けることができる環境が整った。
 今後は、新システムへ新たに連携されるエンジニアリングデータや運転データなど、より広範な情報をビッグデータとして活用し、設備トラブルの予知・回避を含めた「スマート設備管理」の早期実現を図る。これら保全計画最適化の効果を含めて、数年内に保全コストの約3割の削減を目指す。
 同社は、引き続き、デジタル革新による生産性の向上や既存事業の競争力強化、さらには新たなビジネスモデルの創出に注力し、持続的な成長の実現と企業価値の向上に取り組んでいく。

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