積水化学、CCUへの適用に向け 実証要件適合性等調査を開始

2024年02月13日

ゴムタイムス社

 積水化学工業は2月9日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託を受け、「実証要件適合性等調査/鉄鋼分野のカーボンニュートラルを実現するためのCO2→CO変換ケミカルルーピング技術実証研究(EU)」を、2023年11月から開始したことを発表した。
 同社はこれまで、CO2を高い転化率でCOに変換する同社独自のCO2→CO変換ケミカルルーピング技術の開発を進めてきた。2021年よりArcelorMittal,S.A.(アルセロール・ミタル)のスペイン・アストゥリアス工場で、製鉄の際に排出される実ガスを用いた試験を進め、昨年6月にはCO2転化率90%および水素転化率75%という成果を収めた。
 同初の狙いよりもさらにCO2転化率および水素転化率が向上していることから、商用化に向けたスケールアップを視野に新たなプロジェクトを検討してきたが、今回、NEDOの「2023年度「脱炭素化・エネルギー転換に資する我が国技術の国際実証事業(実証要件適合性等調査)」第2回公募」に応募し、採択された。
 アルセロール・ミタルの製鉄所(実証場所は今後数か月の間に決定予定)から排出されるCO2を、同社のCO2→CO変換ケミカルルーピング技術を用いてCOに変換し、高炉での還元剤としての直接活用、および国内外のパートナーが保有する技術も活用したCOのさらなる変換など、さまざまなCOの用途展開(CCU)について技術の実現性および経済性の検討を進め、CO2から、有望なCOの用途展開までの一連の技術実証を行う。
 なお、実証におけるCO2変換量のスケールは、これまでのスペイン・アストゥリアス工場における試験時の1kg/日から10t/日にスケールアップをする予定。
 今回の実証要件適合性等調査の期間は、2023年11月~2024年3月の予定。同調査ではEUにおけるエネルギー事情、GHG削減に関する政策、現地実証に向けた法規制・環境およびアルセロール・ミタルの製鉄所ならびに周辺環境、立地、供給インフラなどの情報収集を行い、CO2→CO変換ケミカルルーピング技術のスケールアップとCCUの技術実証に向けた取り組みを開始する。
 同社では、同技術の商用化に向けた取り組みを進め、2030年度の事業化や新たな資源循環システムの構築を目指し、サステナブルな社会の実現に貢献していく。

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