持続的成長・価値創造へ ゴム企業トップの年頭所感

2024年01月15日

ゴムタイムス社

 新年の始まりを祝う元日に石川県の能登地方を中心に震度7の大地震が襲った。被災地では多くの家屋が倒壊し、北陸地方に生産拠点を構える企業では生産停止などの影響も出た。さらに、世界的な政情不安や物価高は今年も継続する。不透明さが漂うなかでスタートした24年。ゴム企業各社トップが発した年頭訓示は、価値創造や持続的成長といったメッセージが多かった。

ブリヂストン・石橋グローバルCEO
 24年度を初年度とする中期事業計画(24~26)においても、これまでと同様に、「過去の課題に正面から向き合い、先送りしない」、「足元をしっかり、実行と結果に拘る」、「将来への布石を打つ」の3つを軸に、着実に歩を進めていく。経営スタンスを、「危機対応」から「Passion for Excellence」へシフトし、「良いビジネス体質を創る」、「良いタイヤを創る」、「良いビジネスを創る」、「良い種まきを実施し、新たなビジネスを創る」をビジネスの基本シナリオとして、価値創造へよりフォーカスしたい。

住友ゴム工業・山本社長
 昨年はさまざまな成果を上げることができ、基盤強化・構造改革は着実に進んでいる。
 今年は中期計画2年目として、構造改革と成長戦略のさらなる推進、収益体質強化、そしてこれらを支える健全で強固な組織をつくるため、次の3点を全社方針とした。第一の方針は「全社一丸で変革を推進し、中期計画の取り組みを加速しよう」だ。第二の方針は「ありたい姿の実現に向けて、イノベーションを推進しよう」だ。
 そして第三の方針は「多様性を尊重し、組織力を高めよう」だ。これらの方針に基づき、当社は社会からの期待に応える真に価値ある企業グループを目指して邁進していく。

横浜ゴム・山石社長
 今年は「インフレの動向」「国内のマイナス金利解除」「米国大統領選」「中国経済の低迷」「戦争」など不確実な要素が多く、予断を許さない経営環境になるとみている。
 また自動車産業では100年に1度の大変革期と言われる中、乗用車の電動化がさらに進むことが予想される。カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーといったサステナビリティ課題も、もはや与件として取り組むべきものと理解している。そのような環境下、当社は2024年に新たな中期経営計画を策定し「収益を伴った成長」を引き続き目指していく。

TOYO TIRE・清水社長
 今年は2025年までの中期経営計画の後半戦に入るが、現状に慢心するのではなく、これまでの取り組みをしっかりと熟成させ、さらにその先を見据えて力をつける年にしたい。何か突拍子もないことに挑戦するというものではなく、中計という羅針盤に沿って引き続き、変化に揉まれながらもその変化に適応しながら、自分たちの実力値をしっかり底上げしていく。地味ではあるが、当社はそうしたことを愚直に実行しながら強くなってきた会社であり、これからもそういう会社でありたいと考えている。
 この意思を込めて、2024年をさらに「その先を見据え、愚直に力をつける年」と掲げ、チャレンジしていきたい。

豊田合成・齋藤社長
 高分子の可能性の追求による社会的価値の提供を通じて、将来にわたる持続的な成長を実現するため、昨年8月に中長期経営計画(2030事業計画)を策定した。
 今年は、その達成に向けた諸施策を実行する初年度として大きく一歩を踏み出すために、従来のレベル・延長線を超えて「変える・変わる・チャレンジする」をキーワードに、①電気自動車(BEV)をはじめとするCASEに対応した新たな製品づくり。②脱炭素、循環型社会の実現に貢献するゴムや樹脂分野のコア技術を活かしたCO2低減やリサイクルの推進。③従業員一人ひとりのヤル気とゲンキを引き出す「高分子型組織」づくりと様々な組織との連携拡大などに注力していく。

住友理工・清水社長
 昨年、創立100周年にあたる2029年に向けた経営Vision「2029年住友理工グループ Vision」を策定した。Vision達成に向けた計画の一つとして、今年は本格的に小牧製作所の刷新に着手する。これはさらなる成長と進化を遂げ、社会の変化に適応していくために行う施策の一環だ。 

 今年も引き続き、社会課題に果敢に挑み、社内外の連携による共創を進めることで、スピーディかつダイナミックな変革を遂げる集団を目指していきたい

バンドー化学・植野社長 

 今年の当社グループの在りたい姿を漢字一文字で表すとすれば、「勇」(ユウ、いさむ)の年にしたいと考えている。これは、当社グループの一人一人が「勇健」、すなわち「勇ましくて心身ともにたくましく健康な状態」であることを願っており、皆が「勇敢」に自ら進んで困難な状態に立ち向かうことを期待し、この漢字一文字を選んだ。中期経営計画の目標必達に向けて、グループ一丸となって「勇往邁進」していく所存だ。

三ツ星ベルト・池田社長
 現在、当社を取り巻く環境は依然として非常に厳しいものとなっている。主要な原材料価格が高止まりし、為替も円高へ振れると予測されている。このような状況ではあるが、21中期経営計画の見直しと、2030年度の「ありたい姿」に盛り込んだ政策・戦略によって、コア事業においては、研究開発と技術力をさらに強化し、その他既存事業については、イノベーションを加速させ、一つの柱となる事業に育てあげていく。また、持続可能な社会の実現に貢献できる会社であり続けられるよう、環境対策をはじめとしたESG経営の推進についても、全力を挙げて取り組んでいく。

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