TPE特集 旭化成 タフテックが医療中心に堅調 新しい開発テーマを開拓進める

2023年11月14日

ゴムタイムス社

 旭化成の環境ソリューション事業本部で取り扱う熱可塑性エラストマー(TPE)の用途は、医療用途、自動車、電子材料、食品包材、衛生材料、スポーツシューズのミッドソールなど多岐に渡る。
 取り扱う製品群では、水添スチレン系エラストマー(SEBS)の「タフテック」「S.O.E.」を中心に、スチレン系エラストマー(SBS)の「タフプレン」「アサプレンT」などがある。
 23年度の上半期の需要を振り返ると、タフテックは医療分野を中心に展開しており、景気に左右されにくく、比較的堅調だった。販売数量も前年同期並みであり、同社は「販売数量が大きく落ちていない理由は、この医療用途の背景に加えて、粘接着用途の需要が前期に続き堅調。」との見方を示す。
 また道路アスファルト改質剤用途や食品容器用途については、第1四半期の動きが鈍くかったものの、第2四半期から徐々に回復傾向になり、前年同期並みレベルだった。
 最近のトピックスとして、同事業部は22年度にマーケティング組織を設置し、「新規性や成長性が高いと思われる、新しい開発テーマ開拓等を手がけていく。マーケティングに長けた人材を中心にメンバーを増やし、開拓を加速していく」(同)としている。
 また、欧州拠点の旭化成ヨーロッパに専任の営業拠点について「現地スタッフも雇用し、新しい案件もでてきた。医療分野に関わらず、様々な用途で需要を開拓していく」(同)考えだ。
 今後の事業展開としては、タフテックは多様なニーズを捉えたバランスの良い事業ポートフォリオの構築を目指していく。そのため、「これから需要が伸びていく領域のテーマを中心にお客様と対話しているが、実際の数値に表れるようにしていくことが重要であり、マーケティング・営業・技術開発部が一緒に取り組んでいく」(同)ことで、顧客に価値を提供していくとしている。
 環境対応への取り組みとしては、22年にISCC PLUS認証を取得している合成ゴムに続き、エラストマー事業部としても取得した。またLCAの観点から、同社認定の環境貢献製品である長寿命化の道路用アスファルト改質剤用途の拡大を進めることでCO2の削減に貢献していく。
 下半期は中国需要の需要動向にもよるが、上半期後半の回復傾向が続くと見ている。

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