出光興産、神戸大とバイオ研究 スマートセルの開発に着手

2023年10月03日

ゴムタイムス社

 出光興産は10月2日、バイオものづくりバリューチェーンの構築に向け、神戸大学先端バイオ工学研究センターに「出光バイオものづくり共同研究部門」を設立したと発表した。
 10月1日に設立した共同研究部門では、バイオ燃料、バイオ化学品、バイオ農薬などを製造するスマートセルの開発に取り組む。
 バイオものづくり(微生物を利用したものづくり)は、主にスマートセルを活用して有用物質を効率的に生産する技術。現在はバイオマス等から得られた糖などを原料とするプロセスの実用化を目指しているが、CO2を直接原料とする研究開発も進められており、いずれも持続可能な社会へ寄与できる技術として期待されている。
 同社は、1970年代から微生物に関する技術開発に取り組み、世界トップレベルの微生物開発技術を有する神戸大学と2020年からバイオ農薬などに関する共同研究を実施してきた。
 このたび設立した「出光バイオものづくり共同研究部門」では、2026年を目途に特定の化合物(化粧品や将来エネルギー用途への展開の可能性がある油脂、農薬などに使用する生理活性物質など)を製造するための基盤となるスマートセルの開発を目指す。
 同部門にて開発したスマートセルは、本年に同社が出資した最先端のスマートセル開発技術を保有する神戸大学発のベンチャー企業であるバッカス・バイオイノベーションにおいて、更なる生産性向上とスケールアップについて検討する。
 同取り組みによりバイオものづくり領域の技術開発を加速させ、将来的には、原料確保、スマートセル設計、スマートセルを活用した有用物質の製造まで一気通貫するバイオものづくりバリューチェーンを構築することを目指す。
 日本政府は「2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現すること」を目標としたバイオ戦略を推進しており、スマートセルの活用により有用物質の高効率な生産を実現する新しい「バイオものづくり」が注目されている。
 抗生物質や発酵食品が代表するように、微生物の力を利用したものづくりは昔から行われてきた。スマートセルを活用したバイオものづくりにおいては、医薬品や食品にとどまらない多様な有用物質の生産と、生産の高効率化の実現が望める。
 また、化学品製造においてはスマートセルの活用により常温・常圧下の生産が可能となるため、高温・高圧下の石油化学プロセスと比べエネルギーとCO2排出を抑えることができる。
 同社は高機能材事業の重点領域の一つとして「バイオ・ライフソリューション」を設定しており、その具体施策の一つが「バイオものづくり」となる。
 バイオものづくりバリューチェーンの構築により、バイオエコノミー社会実現に貢献することを目指す。
 また、スマートセル開発によるバイオものづくり技術の確立に向け、微生物設計技術、研究開発におけるDX、石油事業におけるスケールアップ生産技術といった強みを活かしながら、アカデミア連携・スタートアップ投資といった外部との連携を強化する。
 同社は2022年11月に発表した「中期経営計画(2023~2025年度)」において、「一歩先のエネルギー」「多様な省資源・資源循環ソリューション」「スマートよろずや」の3つの事業領域の社会実装を通じ、事業ポートフォリオ転換を推進することを表明した。
 同取り組みは同社が掲げる2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けた3つの事業領域のうち「多様な省資源・資源循環ソリューション」の社会実装に向けた取り組みと位置付けている。

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