東洋紡、エクソソーム新技術開発 共創パートナー企業募集

2023年07月14日

ゴムタイムス社

 東洋紡は7月13日、微小な孔とイオン交換機能を持つ分離膜を用いることで、細胞培養液等から高効率・高純度・高収率にエクソソームを回収できる精製技術を新たに開発したことを発表した。早期の実用化に向け、医薬品や診断薬への応用を目指す共創パートナー企業を募り、エクソソームの研究開発の進展に貢献していく。
 エクソソームは、細胞が分泌する50~150nmの微粒子(細胞外小胞)で、生体内の血液や尿などさまざまな体液中に存在している。核酸(マイクロRNAなど)やタンパク質を内包し、細胞間の情報伝達や細胞の修復などにおいて重要な役割を持つことなどが明らかになってきており、近年では、がんをはじめとするさまざまな疾病の診断や治療、再生医療など幅広い領域で応用可能な次世代モダリティとして注目を集めている。今後も世界中で研究の進展が期待され、これに伴い、エクソソームの研究用製品の世界市場も2030年まで年率35%を超える成長が見込まれている。
 同社が開発したのは、微細加工処理を施したイオン交換機能を持つ分離膜によるエクソソームを高効率・高純度・高収率に回収する精製技術と、これを用いたエクソソーム精製キット。現在、エクソソームの精製には「超遠心法」を用いることが主流であるが、高額な装置を必要とするほか、精製に数時間を要することや回収したエクソソームの純度が低いことなどの課題があった。
 同社のエクソソーム精製キットは分離膜、洗浄液や溶出液などで構成され、3つの簡便な作業ステップにより精製処理を実現する。まず、吸着ステップでは、分離膜に施された微小な孔によって、生体由来試料からエクソソームやマイクロベジクルなどの微粒子とそれ以外のタンパク質などの夾雑(きょうざつ)物を選り分け、夾雑物の大半を除去する。次の洗浄ステップでは、洗浄液を用いて残存する夾雑物をさらに除去する。最後の溶出ステップでは、分離膜の持つイオン交換機能とエクソソームが持つ負電荷を利用することで純度の高いエクソソームを取り出すことができる。煩雑な前処理は不要で、この吸着・洗浄・溶出のステップにより最短約30分でエクソソームを精製、回収可能となる。

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