DICがハイドラン販売開始 環境配慮型水系ウレタン樹脂

2023年06月29日

ゴムタイムス社

 DICは6月28日、環境配慮型水系ウレタン樹脂の新製品 「HYDRAN(ハイドラン)GPシリーズ」の販売を開始したと発表した。
 同製品は従来の水系ウレタン樹脂よりも高固形分化およびアミン系物質不使用を実現したことにより、ユーザーにおける工程時間短縮と臭気低減、最終製品のGHG(温暖化ガス)およびVOC(揮発性有機化合物)の排出量削減に貢献する。
 また、従来では困難だった溶剤系同等の高性能を発揮する。
 同社のサステナブル製品として、グローバルで合成皮革・人工皮革、塗料、接着剤用途などに展開し、2030年に売上高100億円を目指す。
 ウレタン樹脂は柔軟性、強度、耐摩耗性、耐薬品性、耐光性などの優れた特性を持つ樹脂。中国や欧州を始めとする各国の環境規制の強化やSDGsへの社会的関心の高まりから、有機溶剤を使用せず、健康や環境に配慮した水系のニーズが世界的に高まっている。
 しかし、従来の水系ウレタン樹脂は、風合い、屈曲性、耐加水分解性、保存安定性など一部の性能面で溶剤系に劣るといった課題があり、さらに含有するアミン系物質の影響で臭気にも課題があった。
 これらの課題を解決するため、同社は従来の溶剤系と遜色のない品質を有する水系ウレタン樹脂「ハイドランシリーズ」を開発した。
 同製品は、環境に配慮した水系の製品でありながら、臭気の原因であるアミン系物質を含まないため、加工プロセスおよび最終製品の臭気およびVOCを低減する。
 さらに、従来35~50%程度であった樹脂濃度を50~60%に高め水分量を削減することで、原料調達から最終製品の生産工程におけるGHG排出量を従来の溶剤系ウレタン樹脂に比べ約60%削減する。
 同社グループは長期経営計画「DIC Vision 2030」において、ファンクショナルプロダクツ事業部門の基本戦略として、サステナブル対応製品を中核とした事業拡大を掲げている。同社は合成樹脂事業における長い歴史と豊富な知見や技術力を活かし、今後も樹脂製品の水系化やバイオマス化といったサステナブル製品の開発と拡販を加速する。
 同社は日本で有数のファインケミカルメーカーのひとつであり、同社グループの中核企業。同社グループは、世界全体でSun Chemical Corporationを含む約190の子会社によって構成し、60を超える国と地域で事業を展開している。
 グループ全体として、人々の生活に欠かせない包装材料 、テレビやPC等のディスプレイに代表する表示材料 、スマートフォンなどのデジタル機器や自動車に使用する高機能材料を提供するグローバルリーディングカンパニーと認知されている。
 これらの製品を通じて、社会に安全・安心、彩り、快適を提供している。同社グループは持続可能な社会を実現するため、社会変革に対応した製品や社会課題の解決に貢献する製品の開発にグループ一丸で取り組んでいる。
 連結売上高1兆円を超え、世界全体で2・2万人以上の従業員を有するなか、同社グループはグローバルで様々なユーザーに寄り添っていく。

ハイドランイメージ

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