三洋化成、ソリエマー開発 化粧品用ピッカリング乳化剤

2023年06月01日

ゴムタイムス社

 三洋化成工業は5月31日、界面活性剤不使用でありながら良好な乳化安定性を示し、きしみ感やぬるつきのない良好な使用感を与える粒子状の化粧品用乳化剤「ソリエマー(開発品)」を開発したことを発表した。「ソリエマー」は、サイズ、形状、表面構造を最適化した同社独自の真球状シリカで、ピッカリング乳化剤を使用した化粧品の課題であったきしみ感を解決し、さらっとした良好な使用感で、かつ安定性の高いエマルションを提供することが可能となる。
 油成分と水成分など、混ざり合わない成分同士を均一に混ぜ込むことを「乳化」といい、これらの成分の界面に働いて乳化状態を作り出す成分を「乳化剤」という。乳液やクリームなど、多くの化粧品でこの乳化が活用されている。乳化剤には界面活性剤が用いられることが一般的であるが、化粧品においてはぬるつきや特有のにおいによる使用感の悪化、汗などの水分による化粧崩れといった課題があった。また、安定な乳化物を得るためには油種によって使用できる界面活性剤の種類に制約があった。
 一方、前述の課題を克服する乳化方法として、界面活性剤を使用せず、固体粒子を乳化剤として用いるピッカリング乳化が知られており、ピッカリング乳化で得られた乳化液(エマルション)は、界面活性剤を使用した場合に比べて乳化状態の安定性が高く、乳化後に分離しにくいことが特長。しかし、ピッカリング乳化においても、化粧品製剤では油種や化粧品の成分の影響を受けて乳化性や乳化後の安定性が悪い場合があり、また、ピッカリング乳化で用いる乳化剤(ピッカリング乳化剤)は固体粒子であるため、それを用いた化粧品には粉っぽさやきしむような使用感があった。さらに、従来のピッカリング乳化剤は非常に細かく軽いため、配合時のハンドリング性の向上も課題であった。
 同社は、得意とする界面制御技術により、サイズ、形状、表面構造を精緻に制御したサブミクロンサイズの真球状シリカである独自のピッカリング乳化剤「ソリエマー」を開発し、きしみ感やハンドリング性などの課題を解決。通常このような大きさの粒子では安定な乳化物を得ることは困難であるが、同社は真球状シリカの表面処理方法に加えて化粧品処方における最適な乳化方法を見出し、安定な乳化物を得ることに成功した。「ソリエマー」は油種や化粧品の成分の影響を受けにくく、比較的幅広い化粧品処方において安定的な乳化状態を長期にわたって保持することが可能。
 このような特長を有する「ソリエマー」は化粧品用原料として、さまざまなニーズに合わせた処方で活躍できるものと考えられている。
 化粧品では、保湿などの機能とともに、使い心地も重要。同社は「ソリエマー」を用いることで機能と使用感ともに満足する最適な処方を提案できるものと考えており、引き続き化粧品分野の製品開発に注力し、総合的で魅力的なソリューションを提案していく。

「ソリエマー」の外観

「ソリエマー」の外観

「ソリエマー」エスイーエム写真

「ソリエマー」エスイーエム写真

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