丹青社と三井化学が共同で 衣類でアップサイクル実証実験開始

2023年04月24日

ゴムタイムス社

 丹青社と三井化学は4月20日、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の実現に向け、廃棄される衣類を新たな製品として生まれ変わらせて、施設などで活用する継続的プロセス構築を目指した実証実験を開始したと発表した。
 日本では年間約50・8万tもの衣類がゴミに出されているといわれている。衣類に関連するCO2排出量は約9000万t(原料調達~製造、1着あたり25・5kg)にあたる。
 水の使用量も約83億㎥(原料調達~製造、1着あたり2300L)に上り、衣類は環境に対して大幅な負荷を与えている。
 丹青社は空間づくりに携わる中で、多くの事業者がこうした社会課題の解決策を模索している現状を目の当たりにしてきた。そこで、アパレル業界における廃棄衣類を「有効な資源」と見立てを変えることにより、新たな価値を付与して生まれ変わらせ、再び社会に循環させる仕組みの構築を目指し、本実証にいたった。
 三井化学は、これまでの技術開発の中で、性質の大きく異なる素材をコンパウンドするノウハウを保有するとともに、廃棄バイオマス素材の樹脂コンパウンドにいち早く取り組んできている企業や、成形加工メーカーとの協業関係を構築し、サーキュラーエコノミーを実践する中でバイオマス素材を有効活用する道を模索してきた。
 本実証では、廃棄される予定だった衣類を裁断・微粉化・ペレット化のプロセスを経て、成形原料に戻し、ハンガー、トルソー、トレイなどにアップサイクルする。それらを三井不動産の運営する店舗、千葉県船橋市の「LaLaport CLOSET」内に4月21日から試験導入し、その上で、本実証の持続可能性についての評価を実施する。
 評価の中で抽出した課題の検証を通じ、施設内のテナントなど店舗で発生する売れ残りをはじめとした廃棄される衣類に新たな価値を付与して、再び施設で活用する一連のプロセスの構築を目指す。さらに今後は、さまざまな用途のプラスチック製品への展開のほか、施設などで使う建材や内装材の開発にも取り組み、その活用を推進する。
 両社は、それぞれのもつ知見やノウハウを活かして、持続可能な社会の実現に向けた課題解決につながる取り組みを続けていく。

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