カネカら、GI事業に採択 微生物によるポリマー合成技術 

2023年03月24日

ゴムタイムス社

 カネカ、バッカス・バイオイノベーション、日揮ホールディングス、島津製作所の4社は3月22日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「グリーンイノベーション基金事業/バイオものづくり技術によるCO2を直接原料としたカーボンリサイクルの推進」に対し、「CO2からの微生物による直接ポリマー合成技術開発」を共同提案し、実施予定先として採択されたと発表した。
 同プロジェクトは、2020年12月25日(2021年6月18日改訂)に経済産業省が関係省庁と策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」におけるカーボンリサイクルの実現に貢献するもの。4社がこれまで培ってきた知見や技術を結集し、CO2を原料として生分解性バイオポリマーを生産する微生物の開発および生産プロセスの技術開発を行い、化石資源に依存しない循環型バイオものづくり技術の実現を目指す。
 同プロジェクトの事業期間は 2023年度から2030年度とし、CO2を原料とするガス発酵バイオファウンドリの確立(担当バッカス、島津)、バイオポリマー生産微生物等の開発・改良(担当カネカ)、CO2を原料に物質生産できる微生物等による製造技術等の開発・実証(担当、カネカ、日揮 HD、島津)の3つのテーマに取り組む。
 カネカは、植物油などを原料に微生物により生産するカネカ生分解性バイオポリマーGreenPlanet(Green Planet)の工業化に世界で初めて成功した実績がある。同プロジェクトでは、これまで培ってきたバイオ・高分子の技術を基に、CO2を直接原料としてGreen Planetを生産する新たな生産微生物等を開発するとともに、工業化に向けてセミコマーシャルプラントの立ち上げ、生産実証を行う。また、幹事会社として、本プロジェクトを主導する。
 バッカスは、データ駆動型バイオファウンドリ企業。独自技術を結集した育種プラットフォームを高度化し、スマートセルの育種期間の大幅短縮を目指している。独自のデジタル技術を駆使することで、ガス発酵に最適な細胞をデザインし、様々な品種を創出していく。また、島津と共同開発する高速評価システムを導入、データ活用するとともに、日揮HDと微生物育種からプロセス開発までのワンストップサービスを実現する「統合型バイオファウンドリ」の構築を目指す。
 日揮HDは、オイル&ガス分野のEPC(設計・調達・建設)事業で培った水素ガス等の安全なガスハンドリングやプロセスのスケールアップ、さらにはライフサイエンス分野での培養槽の最適化設計技術において多くの知見を有している。同プロジェクトでは、CO2、H2、O2を含む混合ガスの安全なハンドリングシステムと高効率ガス発酵プロセスの開発やスケールアップに加え、微生物の育種からプロセス開発までをワンストップで行う「統合型バイオファウンドリ」をバッカスとともに確立する。
 島津製作所は、社会課題の解決に向け、幅広い分野への分析計測技術・ロボティクス技術とAIを用いたシステムによるデータ解析技術を提供することでさまざまなノウハウを蓄積してきた。同プロジェクトでは、バイオファウンドリ構築に不可欠な高速での生産性評価技術の開発に取り組む。また、プロジェクト内で構築する予定のセミコマーシャルプラントにおけるガス発酵を計測し、安全・高効率な発酵が行われるよう支援する評価システムを開発する。

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