三井化学アグロのIRS専用剤 WHOの事前認証取得

2023年03月16日

ゴムタイムス社

 三井化学アグロは3月15日、マラリア媒介蚊防除用、屋内残留噴霧(IRS)剤VECTRON T500が世界保健機構(WHO)による事前認証を取得したと発表した。

 VECTRON T500は、同社が創出・開発した世界初のメタジアミド系有効成分TENEBENALを含有するIRS専用剤となる。新興国・途上国では殺虫剤登録にWHOの事前認証を必要とする国や評価当局が存在しない国も多く、今回の認証取得により迅速かつ簡便に各国での登録を取得し、上市を加速することが可能となった。

 マラリアは未だ84カ国で流行しており、世界人口の半数はマラリアに感染する恐れのある地域で暮らしている。WHOの2021年の統計から、年間2億人以上が羅患し、死亡者の数は60万人以上にのぼると報告されている。この深刻な被害の大部分は、サハラ以南アフリカ(サブサハラアフリカ諸国)の5歳未満の小児と妊婦に集中している。

 IRSは、マラリア媒介蚊が人から吸血をするために家屋に忍び込んだ際、一度壁の上で休息をとる習性を利用し、あらかじめ壁面に殺虫剤を処理しておくことでマラリア媒介蚊を駆除するマラリア予防対策の中核的な技術だが、既存の殺虫剤への耐性を獲得したマラリア媒介蚊が増加したため、有効性が低下し、大きな社会問題となっている。マラリア感染を予防するために、迅速な新剤の上市が望まれている。

 VECTRON T500はその全く新しい作用機序から、英国及びアフリカ各国の研究でピレスロイド剤・有機リン剤など、既存剤抵抗性の系統・個体群への高い効果が確認されている。新規作用性のみならず、VECTRON T500は多くの優れた特長を持っている。様々な種類の壁面上で極めて長い残効性を保ち、忌避性がなく、マラリア蚊が長時間薬剤に接触する。臭気がなく、かつ壁を汚すこともない。哺乳類急性毒性が低く、リスクアセスメントにより新生児から成人まで、居住者・散布者への安全性を確認している。

 VECTRON T500は、サブサハラアフリカ諸国で2023年より順次上市を予定している。同社は、WHOの取り組むGlobal technical strategyの下、抵抗性マネジメントのための新たなローテーション剤としてマラリア根絶に貢献したいとしている。

 

既存剤の効果が低下

既存剤の効果が低下

IRS散布

IRS散布

 

 

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