年頭所感 全日本プラスチックリサイクル工業会 石塚勝一会長

2023年01月16日

ゴムタイムス社

 昨年は4月にプラスチック資源循環促進法が施行され、私どものリサイクル業界とっては新たなお仕事の話が多い年でした。特に製品メーカーや排出事業者から自社製品廃棄物を再資源化する相談を多くいただきました。今まで製品の使用後の処分(墓場)までは余り考えていなかった製品メーカーの方々がリサイクルを考えてくれるようになったことは、新たな循環資源を発掘できるチャンスと期待しております。
 今後は地球環境を最優先にした経済活動になっていく事を考えますと、資源を消費して大量生産を行い付加価値を上げていた時代から、同じ資源を何度も繰り返し使用して付加価値を積み上げていく時代に移行していくことは間違いないと思われます。イギリスをはじめEUでは包装資材に対し30%以上の再生材やバイオプラスチックを含有しなければプラスチック税を課税する国も出てきました。そうなればリサイクル材の需要は増加し、その原料となる新たな循環資源の発掘が必要になってまいります。
どのように循環資源を発掘してリサイクル材の増産に繋げていくかですが、「製品メーカー・排出者」が動脈産業、「収集運搬・中間処理業者」が静脈産業、その静脈から集まった循環資源を製品メーカーが使用できるリサイクル材に加工して動脈に送り出す私ども「リサイクルメーカー」が心臓産業としますと、静脈~心臓~動脈のサークルでお互いの情報を共有し連携を深めていく事が必要であります。そして、サークルの輪を大きくすること、その輪を沢山作る事で増産に繋がると思います。具体的な情報の共有化としては、動脈産業から静脈産業にリサイクルし易い製品設計、廃棄物の発生見込や使用材料などの情報、静脈産業から心臓産業に運搬や廃棄物から分別した循環資源情報、心臓産業から静脈産業に使用可能な循環資源情報及び動脈産業にリサイクル材の物性、安全性、数量等が考えられます。
 一方でリサイクルの依頼を頂く製品メーカーでも、再資源化したリサイクル材の自社使用に慎重な企業が多くあります。未だにリサイクル材への信頼性が乏しく、使用に対して不安に感じておられる方が多いのかと思います。また、リサイクルで先行しているEUのリサイクル認証等を取得し、リサイクル材の確からしさを確保する企業もあります。しかし、日本の厳しい製品品質規格に対応できるリサイクル材には日本独自のリサイクル認証が必要ではないかと考えます。
 2年前より弊社を含めリサイクルメーカー有志4社が集まり、リサイクル材市場の拡大を目的に「心臓産業の会」を立上げリサイクル材の地位向上の活動をしております。本年は関係各位のご協力を頂きながら日本独自の「再生プラスチック認証センター」構想を具現化してまいります。

石塚勝一会長

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