日本ケミカル機器 業績伸長 ウォータージェットを増設 

2023年01月16日

ゴムタイムス社

 ゴム材や樹脂材の超精密加工を得意とする日本ケミカル機器(岡山県倉敷市、佐藤良一社長)が順調に業績を伸ばしている。技術力の高さや独自の品質管理システム(Chemical Standard)を武器に、同社の受注量は継続して増えており、2018年に新設した東京工場(埼玉県富士見市)でも5軸加工機がフル稼働している。本社工場にも一昨年に5軸ウォータージェット、昨年は4軸NCルーター(北川鉄工所製)を1台ずつ増設し、生産ラインのさらなる補強を行っている。
 1975年設立のゴム加工メーカーである同社は、1990年代前半には既にウォータージェットを導入していた。ただ、故障の多さなど使い勝手に満足できない部分を感じていたため、「もっと使いやすいウォータージェットはないか」(佐藤社長)と探していたところ、北川鉄工所(広島県府中市)のウォータージェットに関心を持ったという。佐藤社長は「今から20年以上前の1999年に初めて北川鉄工所製のウォータージェットを導入した。当初は多少のトラブルもあったが、当社の要望にも真摯に対応していただき、改善を施してくれたおかげで満足のいくウォータージェットになった」と当時を語る。さらに、業容拡大の大きな転機となった出来事の一つに、2003年に共同開発した「5軸ウォータージェット」の導入がある。その当時市場には2軸制御のウォータージェットしかなく、5軸は存在しなかった時代。そんな中で、5軸のルーターを得意としていた北川鉄工所に同社から相談を持ちかけたのが5軸ウォータージェット開発の始まりだ。「当社がこれまで培ってきた機械の操作方法や加工ノウハウと北川鉄工所さんの技術を組み合わせることにより、業界初の5軸ウォータージェットが完成した」(佐藤社長)と話す。
 この5軸ウォータージェット導入をきっかけに、他社で断られた難しい加工品にもトライできるようになり、ゴム加工の幅も徐々に拡大し、付加価値の高い仕事も請け負える体制になったという。
 さらに2006年には、4軸制御のNCルーターも北川鉄工所と共同開発した。大型機械設備を次々と導入して一次加工だけでなく二次加工もできる体制に。社内で一貫生産できる体制が確立されたことで、「これまでの一般的な加工業者から加工メーカーとしての動きができるようになった」(佐藤社長)と事業の成長を振り返る。
 現在、同社が保有する機械設備は、5軸ウォータージェット4台、2軸ウォータージェット1台、5軸NCルーター1台、4軸NCルーター2台(いずれも北川鉄工所製)となっている。そのほか、カッティングプロッターやNC旋盤、注型機、画像寸法測定器などを揃える。「コロナ禍でサプライチェーンの供給不安などがあり、非常に厳しく耐える1年だった」(佐藤社長)と22年を振り返りつつも、機械設備を機に業容拡大を進めてきたことで、22年9月期売上高は過去最高を更新した。23年3月にはさらに1台ウォータージェットを設置予定だという。今年度も積極的に業容拡大を目指す。

ウォータージェット

ウォータージェット

ウォータージェットによる加工サンプル例①

ウォータージェットによる加工サンプル例②

 

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