タイでPCD製造設備増設 UBE、需要拡大に対応

2022年08月30日

ゴムタイムス社

 UBEは8月29日、アジア圏での需要拡大に対応するため、タイ現地法人であるUBE Fine Chemicals(Asia)において、ポリウレタン原料のポリカーボネートジオール(PCD)のⅢ期製造設備の増強に着手したと発表した。2023年8月稼働予定で、生産能力は現在の年産8000tから年産1万2000t規模となる。

 PCDは同社の主力製品の一つで、主に高級ポリウレタンの主原料(ポリオール成分)として使用されており、自動車、家具、建材などのコーティングや合成皮革、接着剤などに採用が広がっている。さらに、PCDを使用したポリウレタンは、耐熱性・耐加水分解性・耐油性・耐候性等の機能が大幅に向上するだけでなく、肌触りの良さ等を備えた素材としての高級感も含めて多くの面で性能が優れており、需要が急拡大している。

 また、揮発性有機化合物(VOC)排出規制強化等への対応のため、溶剤を含まない環境対応型水性塗料(水系ポリウレタンディスパージョン⦅PUD⦆)の原料としてのニーズも高まっている。近年は、特に中国を中心としたアジア圏での消費者の高級・高機能志向の高まりもあってPUDへの切り替えが増えており、引き続きPCDの需要増が見込まれるため、需要地であるアジア域内のタイで増設する。

 同社は2022年5月に発表した中期経営計画「UBE Vision 2030 Transformation~1st Stage~」のもと、地球環境問題への貢献とスペシャリティ化学の成長を両輪として、経営資源を効率的に投入し、地球環境と人々の健康、そして豊かな未来社会に貢献するスペシャリティ化学を中核とする企業グループになることを目指している。その一翼を担うべく、同社はPCD・PUDなど高機能コーティング事業の海外展開を加速し、サステナブルな社会の発展に貢献していくとしている。

 

タイのPCD製造設備

タイのPCD製造設備

 

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