年頭あいさつ 東レ 日覺昭廣社長

2022年01月10日

ゴムタイムス社

〈経営環境〉
 足元の世界経済は、新型コロナウイルスのワクチン接種の進捗を受けて行動制限の解除など、各国が出口を模索しているが、依然として変異株の感染が拡大しているほか、物流の停滞や半導体等の部材不足から自動車生産にも大きな影響が出ており、各国経済や各市場の回復ペースに濃淡がある状況である。また、供給面の制約および世界各国の巨額財政支出が、石油などの天然資源や原材料価格、物流コストの高騰を引き起こしており、インフレーションの懸念が高まっている。

 新型コロナウイルスの感染拡大を機に、東レグループの事業環境にもさまざまな変化があり、伸長した分野や国・地域がある一方で、需要回復に時間を要する分野もあった。また、地球温暖化は大規模自然災害をもたらしており、サステナブルな社会の実現に向けた動きはグローバルで加速している。新型コロナウイルスのみならず、大規模自然災害を経験したことで、人々はより安心・安全な社会、サステナブルな社会を求める気持ちが強くなっている。

 これらの変化に対し、拡大する事業領域を見極めて、拡販と増産に重点的に取り組んでいく必要がある。グリーンイノベーション(GR)事業、ライフイノベーション(LI)事業を含む成長領域での事業拡大を継続し、カーボンニュートラル実現に向けた様々な取り組みについても東レグループの技術力が社会に貢献できる機会と捉えて、しっかりと取り組んでいく。

〈中期経営課題の遂行〉
 中期経営課題“プロジェクトAP‐G 2022”(AP‐G 2022)の主題である「強靭化と攻めの経営」を徹底的に進め、「持続的かつ健全な成長」と、その結果として新たなステージへ飛躍することで、長期経営ビジョン“TORAY VISION 2030”の実現につなげていく。

 2022年度は、AP‐G 2022の最終年度である。世の中の動きは非常に早く、お客様からの要請、生産面で規制への対応など、これまでの想定よりも前倒しで対応していく必要がある。また、アフターコロナを見据えた事業拡大に向けた仕掛けも必要である。AP‐G 2022策定以降の事業環境変化を踏まえて、各課題についてこれまでの進捗を分析・評価し、さらに収益機会の創出、コストダウン、業務の高度化・効率化などについて徹底的に精査して、課題を洗い出していく。

〈2022年の経営方針〉
 東レグループは「東レ理念」に示すとおり、「事業を通じた社会貢献」を目指しており、その社会的責任を果たしていくために、足元の事業環境だけでなく、2030年、2050年を見据えた上で、今実施すべきことについて確実に手を打っていく必要がある。

 安全・防災・環境保全の徹底や、コンプライアンス意識の徹底などの基本に取り組むとともに、事業面ではアフターコロナの事業環境変化に先手で対応する、事業拡大・事業構造改革の目標・課題について、全員参加でベクトル合わせを行っていく。

 今年も東レグループ社員一人ひとりが、先端材料で社会を変えるという高い志を持ち、「事業を通じた社会貢献」という創業以来受け継いできた「東レ流の経営」を実践し、豊かな社会の実現に貢献することに誇りを持って仕事に取り組むことができるようにしていきたい。

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