ノアイアの実用化目指す TOYOTIRE

2021年12月10日

ゴムタイムス社

  TOYO TIREは11月29日、17年に発表したエアレスコンセプトタイヤ「ノアイア」のゴルフカート用プロトタイプを制作したと発表、同日試乗・技術説明会を宮崎県の宮崎フェニックスカントリークラブで開催した。
 開発されたタイヤは将来のスマートモビリティ社会を見据え、ゴルフ場や遊園地のカートなど管理されたエリアにおける実用化を目指す。
 説明会には、水谷保執行役員技術開発本部長と榊原一泰先行技術開発部設計研究・技術企画グループ長が出席した。

 同社では2017年にコンセプトタイヤとして「ノアイア」を発表して以降、実用化に向けた開発を推進してきた。現在、法整備の関係で一般道路での走行ができない状況の中で、管理された空間であるゴルフ場や遊園地などの施設で利用されるカートに着目して開発を進めている。
 「将来的には今後普及が期待される地域や観光地の交通課題の解決や低炭素型交通の普及を推進するグリーンスローモビリティをエアレスタイヤのメリットを活かせる将来市場だと捉え、実用化を目指していく」(榊原グループ長)。この用途において「エアレスタイヤのメリットであるパンクレス、空気圧を監視する必要がないメンテナンスフリーは非常に有効である」(同)としている。

ノアイアが装着されたゴルフカート

 実用化に向けて、耐久性能の向上と生産性の向上も進めてきた。
 耐久性の向上では、スポーク樹脂材料の改良などにより、破断強度を約1・4倍にし、スポークのひずみをを抑制する事で17年当時との比較で、耐久性能を約10倍向上させた。

水谷保執行役員技術開発本部長

 また、生産性向上では、樹脂の混合、攪拌、金型への注型、トレッドの接着などの製造工程をラボレベルから一定量の生産を想定した機械化を自動化する事により、品質面の向上と共に、安定した製造を可能とした。同時に生産化に向けた検討も推進している。
 最終的には、小型のEV車への実用化を目指していくが、まずはゴルフカートでの実用化を目指し、ゴルフ場への提案を開始している。榊原グループ長は、「ゴルフ場と契約し、1年間装着して頂き、劣化や摩耗の評価などの実証実験を進めていく事をまずは目指していきたい」と意気込みを述べた。

榊原一泰先行技術開発部設計研究・技術企画グループ長

 試乗会はノアイアを装着したゴルフカートで、ゴルフ場内のコース間道路で実施された。
 実際に走行したところ、空気入りタイヤと比較して、走り出しの感触も良く、ハンドル応答性も高く、カーブでのふらつきも少なく、安定して曲がる事ができた。

トレッドには全天候型タイヤセルシアスを使用している

 ゴルフ場内のため、速度に制限がある中だが、ブレーキング時にはグリップ力も感じる事もできた。タイヤの剛性は空気入りタイヤより高いが、その反面、荒れた舗装路などでは凹凸の突き上げを感じる乗り心地だった。

 試乗会場に訪れ、ノアイアが装着されたゴルフカートを試乗したTOYO TIRE所属の比嘉真美子選手にも話を聞いた。ノアイアを装着したゴルフカートの乗り心地については「多少硬めのイメージはありましたが、カーブの時にハンドルとの連動がよく、すごく曲がりやすかったです。私は2回程、カートのタイヤがパンクした経験がありますが、ゴルフ場は道幅が狭かったり、危険な崖の近くを走ったりしますので、パンクをせずに安全に走れることは、楽しくゴルフをするために良い事だと思いました」と感想を述べた。

TOYO TIRE所属の比嘉真美子選手

 また、TOYOTIREのタイヤに履き替えて感じたことについては「走行時の音がすごく静かになりました。クルマの中は私にとって、すごく重要な場所でトーナメントの帰りなどに一人で好きな音楽を聴き、今日の反省をしたりなど考えながら帰る事も多いので、走行時の車内が静かになったことで、より有意義なドライブになっていると感じています」と話していた。

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