早川ゴム 新防水仕様を開発 IBーHDFーCLT工法

2021年11月24日

ゴムタイムス社

 早川ゴムは屋上防水用の塩化ビニル樹脂系シート「サンタックIBシート」の新たな防水仕様「IBーHDFーCLT工法」の販売を開始した。
 CLT(クロス・ラミネイティド・ティンバー)工法は、木材の繊維方向が層ごとに直交するように重ねて接着した大版のパネル。1990年代からオーストリアを中心として発展してきた新しい木質構造用材料であり、欧州では10階建の高層マンションや大型商業施設の建設実績がある。日本でも2013年にJAS(日本農林規格)が制定され、CLTの建築基準関連告示が2016年に施行されたことで、一般利用も進んでいる。
 今回、サンタックIBシートのさらなる改良を進めるためにCLT建築の普及に積極的に取り組む岡山県のハウスメーカーのライフデザイン・カバヤとの協業で「IBーHDFーCLT工法」の開発に成功した。
 CLT建築はコンクリートに比べて10倍、鉄の400倍の断熱性能があり、CLTの様な厚い材料は、一度火が付いても炭化層が形成され、内部までなかなか燃えていかないという特徴がある。ただ、優れた材料ながら、CLT建築物を建てる際には屋根をどう施工するかが問題となっていた。切妻、片流れなどの屋根形状かつ板金屋根で仕上げるしか方法がなく、フラットな屋根は実現できないという課題があった(従来のフラット屋根はRC・ALCが主流)。
 同社はこうしたハードルをクリアするため、ライフデザイン・カバヤとの協業で仕様検討を進め、直交集成材板下地防水で業界に先駆けて「飛び火認定」を取得した。ライフデザイン・カバヤは同社が開発した「IBーHDFーCLT工法」を、CLT建築の標準工法のひとつとして採用し、FC加盟店にも展開できるように周知していく。
 CLTは新しい建築構造材として、住宅・非住宅分野での普及拡大が期待されており、今後は「IBーHDFーCLT工法」を採用することでCLT建築らしいデザインのフラット屋根を普及させることで、2050年カーボンニュートラルの実現にも貢献していく。
 同社のサンタックIBシートは従来のRC・ALCなどの住宅・非住宅の様々な建築物で採用されている。CLT建築物にもいち早く注目し、CLT建築向けのシート防水工法の開発に早くから取り組んできた。北海道林産試験場CLT性能評価実験棟「Hokkaido CLT Pavilion(2020年度グッドデザイン賞)」にも採用されている。

「IB-HDF-CLT工法」の施工イメージ

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