特集 機能性フィルム・シートの最近の技術動向 Low-CTEガラスと同等の寸法安定性を持つ 高耐熱性ポリイミドフィルム

2021年08月19日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 機能性フィルム・シートの最近の技術動向

Low-CTEガラスと同等の寸法安定性を持つ高耐熱性ポリイミドフィルム

東洋紡㈱ 土屋 俊之

1.はじめに

 ポリイミドは有機化合物の中でも高い耐熱性、難燃性を有することがよく知られており、プリント回路基板や半導体パッケージ材料として広く使われてきた。そのため、パッケージ基板のソリを低減する目的から、銅箔と同等の熱膨張係数(以下CTE:Coefficient of Thermal Expansion)17ppm/℃を基本として設計されてきた。しかし、近年の高度情報化社会に伴い、配線の微細化や、TFT(Thin Film Transistor)形成を目的として、より高耐熱、高寸法安定性をもつフィルム材料へのニーズが高まってきた。

「ゼノマックス®」(「XENOMAX®」)は当社が持つ高耐熱ポリマーの合成技術とフィルム製膜技術を融合することにより産み出された、世界最高レベルの寸法安定性を有する、新規な高耐熱性ポリイミドフィルムであり、従来のポリイミドフィルムでは不可能だった、Low-CTEガラスやシリコンチップと同等の高い寸法安定性を実現した1)

2.「ゼノマックス®」の特性

 既存のポリイミドフィルムA、Bの50-200℃での平均CTEは約17ppm/℃であり銅箔に近い値を示すが、それ以上の温度ではCTEは上昇し、高温度域でのCTEが安定していない。これに対し、ゼノマックス®のCTEは-50℃から450℃までの範囲でLow-CTEガラスと近い3ppm/℃という低CTEを示す(図1)。このように、非常に広い温度領域、特に300℃以上での寸法安定性が、ゼノ

 

 

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