実用的ポリマー英語表現講座No.4 仕事や論文作成に役立つ英文作成のポイントと例文

2021年02月22日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH」に掲載されました。

仕事や論文作成に役立つ英文作成のポイントと例文
実用的ポリマー英語表現講座No.4

ゴム薬品コンサルタント 太智重光

今月の代表フレーズ
It is concluded from ~ that ….
~により…と結論される。

It may be concluded from these results that chain rupture occurs during ageing.
これらの結果から、主鎖開裂は老化中に起こると結論付けられるだろう。

1.「~を基に…と結論した」の表現法

 第4回目は、結果・結論の表現法です。

例1:It may be concluded from these results that in the case of NR, chain rupture occurs during ageing resulting in reduction of gel content.
(これらの結果から、NRの場合は主鎖開裂が老化中に起こり、ゲル含有量が減少する結果となったと結論付けられるだろう。)

例2:The superior ageing resistance of the cyclic diene containing polymers can be explained on the basis of the structure of the EPDMs.
(環状ジエンを有するポリマーの優れた耐老化性は、EPDMの構造を基本に説明することができる。)

 ①例1の“It is concluded from A that ~”が、Aを根拠とした結論の表現法で、例2の“~ on the basis of A ”も同様の表現法である。
 ②この他に文法解釈は別にして、“Based on ~,…”の表現も少なくない。

2.結果・結論をまとめて要約する時の表現法

例3:The results obtained can be summarized as follows.
1. Deactivating the nitrogen oxide species
2. Improving the stability of the amine containing accelerator fragment
(得られた結果は、以下のように要約される。
1. N-オキサイド類の不活性化
2. 促進剤の一部を有したアミンの安定性の改善)

例4:Some answers have been obtained:
●for ageing resistanc:use of ABC and MgO
●for scorching problems:use of ABC
(幾つかの知見が得られた。
●耐老化性には、ABCと酸化マグネシウムを使用する
●スコーチの問題には、ABCを使用する。)

例5:It is thus possible
a) to reduce the amount of Formula I drastically
b) to reduce the vulcanization time to an acceptable 30 minutes at 150℃.
(かくして、
a)式Iの量を劇的に減らし
b)加硫時間を対応可能な150℃で30分まで減少することが可能となる。)

例6:The protection effect observed in various experiments can be summarized by a rating system, ranging from 1 for excellent to 5 for poor.
(各種実験で観察された保護効果は、1(優)から5(劣)の5段階の評価システムで要約される。)

 ①例3~5は、箇条書きで結果を列挙する時の表現法
 ②例6は、効果を等級で評価する時の表現法

3.「実験等で見出された新たな知見」の表現法

例7:The results presented here demonstrate that the ABC have a property that is beneficial in dynamically stressed rubber goods.
(ここで示した結果は、ABCが動的に圧縮されるゴム製品に有益な性質を持つことを示唆する。)

例8:Research has proven that co-agents are very effective in generic EPDM and EPM rubber formulations.
(研究は、助剤が汎用EPDMとEPM(EPR)ゴム組成物にたいへん有効であることを明らかにした。)

 ①例7の“demonstrate”は「明確に示す」、例8の“prove”は「立証する」の表現法で、意味合いはいずれも強い表現となっている。

例9:The hot air ageing behavior in the fatigue-to-failure test (Figure 1) show how much the products differ from the standard material.
(疲労破壊試験での加熱空気劣化挙動(図1)は、生成物が標準物質とどれだけ異なるかを示す。)

 ①例9の“show”は、一般的な「示す」の意味で、幅広い場面で使用される。

例10:This indicates there is little structural difference in the amorphous portion of these polymers.
(これは、これらのポリマーのアモルファス部分に、あまり構造的差異がないことを示唆する。)

例11:These findings suggest the validity of the reaction sequence postulated (Scheme 1).
(これらの知見は、仮定された反応系列(スキーム1)の妥当性を示唆する。)

 ①例10の“indicate”は、「兆候を示す」、例11の“suggest”は、「暗示する」「示唆する」と訳され、その意味合いは弱い表現となる。

4.「見つける」の表現法

例12:It is observed that CaO gives comparable results with that of PbO in conjunction with diamine.
(酸化カルシウムは、ジアミンと併用することで、酸化鉛と匹敵する結果を与えることが観察される。)

 ①「見つける」の表現としては、例12の“observe”の他に、“find”もよく使われる。
 ②新しい知見を強調した表現法としては、“Especially noteworthy are ~”、“Most important is the observation that ~”、“It was interesting to note that ~”、“It needs to be mentioned here that ~”、“Therefore, it is justifiable to say that ~”、“An interesting fact is that ~”などがある。

【著者紹介】
太智重光
ゴム薬品コンサルタント[/hidepost]

 



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