業績改善が鮮明に 上場ゴム企業の4~12月期

2021年03月01日

ゴムタイムス社

 主要上場ゴム関連企業の21年3月期第3四半期連結決算が出揃った(日東化工は非連結)。21年3月期第3四半期は減収減益企業は14社となった。

 決算発表が延期された朝日ラバーを除いた21社合計の売上高は2兆2713億5900万円で前年同期比13・8%減。21社のうち増収企業は0社(前年同期は5社)となった。

 新型コロナウイルス感染拡大により世界各国でロックダウン(都市封鎖)が取られた影響を受けた上半期(4~9月)と比べると、第3四半期(10~12月)は国内外で自動車生産台数が回復基調にあることや、半導体関連市場も堅調に推移していることもあり、上場ゴム企業の第3四半期売上も改善傾向にある。ただ、上半期までの大幅な落ち込みをカバーできず2桁減となった。

 営業利益は855億3700万円で同28・6%減となった。約8割の企業が営業減益となった要因は、主要需要先の自動車生産が新型コロナウイルス感染拡大で一時大きく落ち込んだことによる。

 一方、営業増益企業は豊田合成、不二ラテックス、昭和HD、ナンシンの4社。売上が上半期を底に回復基調にあることや、原価率低減努力や営業費用など各種経費抑制効果により、売上高と同様、営業利益は前四半期から改善する方向にある。

 経常利益は903億1000万円で同25・3%減となった。このうち、経常減益企業は16社となり全体の76%を占めた。

 なお、豊田合成と住友理工、バンドー化学、JSRは国際会計基準(IFRS)を採用しているため、4社の経常利益は便宜的に税引前利益の数値を使用している。

 四半期純利益は507億1400万円で同31・6%減となった。JSRが前四半期の赤字から黒字に転換したことや、NOK、住友理工が前四半期から純損失額を大きく減らしたことなどもあり、純利益は前四半期(26億円の四半期純損失)から黒字に転換した。

 ◆通期業績予想を修正した企業は11社
 通期の連結業績予想については、増収増益を予想する企業はなく、前年同期と比べ3社減少した。なお、第3四半期の業績発表時に通期予想を修正したのは豊田合成、住友理工、日本ゼオン、バンドー化学、三ツ星ベルト、ニッタ、西川ゴム工業など11社。中国・北米を中心に自動車生産が回復しているほか、コロナ感染防止対策の継続で費用の発生が抑制されていることを理由に業績を修正する企業が目立つ。

 このうち、豊田合成は売上高を7150億円(前回発表予想)から7350億円、営業利益を260億円(同)から380億円、経常利益を260億円(同)から385億円、当期利益を130億円(同)から220億円にそれぞれ引き上げた。修正理由は、主要顧客の自動車生産回復および労務費・経費の抑制等による業績の上振れ等を反映したためとしている。

 住友理工は売上高を3750億円(同)から4000億円、営業損失を85億円(同)から22億円、経常損失を95億円(同)から32億円、当期損失を117億円(同)から59億円へそれぞれ修正した。修正理由として、自動車用品事業で当初想定以上に自動車生産台数が回復したことなどを挙げた。

 日本ゼオンは売上高を2750億円(同)から3000億円、営業利益を160億円(同)から290億円、経常利益を190億円(同)から320億円、当期利益を130億円(同)から230億円へそれぞれ引き上げた。修正理由は、高機能材料事業部門において光学フィルムの販売が堅調だったことやエラストマー素材事業部門において全体として回復基調であったことなどから、前回公表予想値を上回る見込みであると判断した。

 バンドー化学も通期業績を上方修正した。売上収益が750億円(同)から800億円、コア営業利益は25億円(同)から40億円、営業利益は25億円(同)から45億円、当期純利益は15億円(同)から30億円を見込んでいる。

 なお、昭和HDは直近に行ったM&Aなどによる収益の上ぶれ要因の検討が必要なことから現時点では適切な予想が困難だとし、引き続き業績予想を公表をしていない。[/hidepost]

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