廃プラ循環利用技術を市場へ ミシュラン、カナダ企業と提携 

2020年12月10日

ゴムタイムス社

 ミシュランは12月9日、カナダのスタートアップ企業パイロウェーブと提携し、画期的な廃プラリサイクル技術の市場投入を急ぐと発表した。この技術が工業化されれば、タイヤだけでなく他の産業でも持続可能な材料を増やすことが可能となる。

 パイロウェーブが開発した技術により、食品容器や家電の緩衝包装材、断熱建材からタイヤや合成ゴムその他多くの製品の製造に使用されているリサイクルスチレンモノマーを抽出することができる。

 パイロウェーブが開発した独自の技術では、マイクロ波で廃プラスチックを処理しプラスチックを再生する。従来の発電付焼却等による熱エネルギーを回収・利用のサーマルリサイクルとは異なり、電気を使用して廃プラスチックを高品質の原材料に再資源化することができる。化石原料からバージン素材を製造する代替えとして、現状では脱炭素化への最も効率の良いエネルギー形態とされている。

 同社とパイロウェーブの共同開発契約により、プラスチックの循環型経済に新しいバリューチェーンが生まれ、自動車、電子機器、タイヤの分野で、再生プラスチックによる新包装や新製品の設計が可能になる。両社は今後数ヵ月、国際市場での認証と事業化を視野に入れ、パイロウェーブ技術の迅速な工業化を目指す。共同開発のための投資は最終的に2000万ユーロ以上となる予定で、同社はパイロウェーブと協働し、2023年までに工業試作品の開発を目指す。1年間の評価で、同社はリサイクルスチレンを原料としたサンプルタイヤを検証できた。このポリマー再生プロセスは、同社の戦略的ビジョン「すべてを持続可能に」と一致している。

 同社グループ執行副社長、ハイテクマテリアル、サービス&ソリューション統括のソニア・アルティニョン=フレドゥ氏は、「この提携は、ミシュランの持続可能戦略を代表する実例となる。今後さらに持続可能な材料でタイヤを製造し、こうした技術を革新的なリサイクルチャネルで活用できるようにしていく。パイロウェーブの技術の可能性を信じ、ミシュランが持つ多くのビジョンを共有していく」とコメントしている。

 

廃プラスチック再生技術のモジュール

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