マルチマテリアル化のキイテクノロジー 「接合技術」

2020年10月03日

ゴムタイムス社

*この記事はゴム・プラスチックの技術専門季刊誌「ポリマーTECH2」に掲載されました。
*記事で使用している図・表はPDFで確認できます。

特集1 次世代に向けた接着・接合技術と最近の動向

マルチマテリアル化のキイテクノロジー「接合技術」

安田ポリマーリサーチ研究所 安田武夫

1.はじめに
 接合は、プラスチックの二次加工の一つで、機械的結合、溶着、接着に大別される。最近、金属とプラスチックの新規接合法が注目されている。これは、自動車業界が最近地球環境・資源保護問題等により内燃機関車から電気自動車(EV)への電動化が急加速していることが要因の一つである。電動化の際、主な新規部品は、動力源の二次電池、モーター、周辺機器のインバータ、PCU等である。その他では、PTCヒーターが必要になる。EVは内燃機関車と異なりエンジンの熱源がないためである。EVにヒーターを搭載するため、動力源の電池が消耗し、航続距離が短くなる。最近話題となっている自動運転化のため、新しい電子部品の搭載が必要になる。これら全てのことは自動車の燃費を減少させる要因となる。したがって、電動化、自動運転を推進すると、今まで以上に軽量化の要請は高まってくる。その対策として、低比重であるプラスチック、軽金属の採用の増加、超高強度鋼板の積極的な採用などが挙げられる。最近、異種材料の接合による金属とプラスチックとのマルチマテリアル化等による軽量化がその対策の一つとして注目されている。そのため、今回紹介する接合が注目されるようになった。なお、従来から行われている接着剤接合も重要な技術であるが、本稿では、触れないこととする。

2.技術開発状況
 ここでは、特に重要になっている金属とプラスチックの接合に関する技術開発状況を紹介する。接合技術の最近の技術開発動向をカワサキテクノリサーチがまとめた結果を表1に示す。1)検討機関、技術の名称、技術内容、適用材料等を紹介している。
 接合を行う場合、予め金属に化学処理、レーザー処理、プラズマ等の前処理を行い、金属の表面に微細なディンプルを開ける。その後、その金属を金型にインサートし、樹脂を後成形することにより接合が行われる。技術の詳細、適用材料は表に示すとおりである。

3.主な接合技術の概要
 化学処理、レーザー処理の代表例を以下に紹介する。
3.1 化学処理
3.1.1 NMT(Nano Molding Technology)(大成プラス)
①NMTの特徴
・金属と樹脂の射出成形による一体成形技術
 金属への表面処理によりナノレベルのディンプルを金属表面に形成。これら微細なディンプルに射出成形し、硬質樹脂を入れ込むことで、金属と樹脂を一体化する画期的な技術である。製品の筐体やボディーなど金属外装部品の軽量化 を実現する新製品の開発が可能になる。
・接合可能な金属と樹脂
 アルミニウム・マグネシウム・銅・ステンレス・チタン・鉄・アルミニウムめっき鋼板・黄銅が接合する。アルミニウムでは、1,000系〜7,000系などの合金に適応する。
 射出成形により接合可能な樹脂は、PPS、PBT及びPA6・PA66、PPAとなる。特にPPSでは、強固な接合(せん断強度=40MPa以上)が実現する。
・環境負荷の軽減を実現
 NMTはすべての工程がシンプルとなり、工程の短縮化が図れる。さらにマグネシウム合金成形技術のように表面の化成処理などが不要のため、コスト削減にも貢献する。
②NMTの信頼性
 NMTの最大の魅力は、高い接合強度である。高い接合強度を実現できるからこそ、高い信頼性を生み、次世代に向けた、さまざまな可能性を拡げる。2)
写真-3、4に代表的なNMTによる接合例を示す。
3.1.2  AMALPHA(アマルファ、メック)
AMALPHA/アマルファは樹脂と金属を直接接合させるための独自の金属表面処理技術である。樹脂と金属を界面レベルで接合させ、樹脂・金属一体成形部品を作り上げる。
 インサート射出成形・トランスファモールド成形・ヒートプレスなど幅広い成形技術に対応している。
①樹脂と金属の直接接合
 アマルファ処理は化学エッチングにより金属表面にミクロンサイズの微細な凹凸を形成する技術である。この凹凸に樹脂が入り込んで固まることで、アンカー効果による強固な接合が実現する。
②アマルファが創りだす 新しい機能部品
 樹脂と金属が界面レベルで接合することにより、金属と樹脂のそれぞれの特徴を最大限に引き出した今までにない新しい設計・機能の部品を作ることができるようになる。
a) ‌軽量:強度が必要な部分を金属に、それ以外を樹脂にすることで部品を軽量化する。
b) ‌気密性・水密性:樹脂と金属が完全に密着し、ガスや液体を通過しなくなる。
c) ‌部品点数の削減:ネジなどで締結されている部品を一体成形で一つの部品にまとめ、組み立て工数を削減する。
d) 高い耐久性をもった接合:接着剤を使わないため、耐久性に優れる。また、樹脂や金属といった母材と同じ接合寿命を得られる。
③アマルファの特徴
a) ‌強い接合強度:母材破壊レベルの強度で樹脂と金属が接合する。
b) ‌高い封止性:樹脂・金属界面は完全に密着しており、気体・液体を通過させない。
c) ‌高い耐久性:接着剤などの耐久性の低い部材が介在していないため、樹脂もしくは金属の限界まで接合が劣化しない。
d) ‌長いシェルフライフ:マルファ処理をしてから樹脂を接合するまでの時間が長い。
e) ‌多種の樹脂・金属の組み合わせで接合が可能:物理的な接合のため、樹脂・金属の相性に左右されない接合が可能である。
f) ‌処理表面の品質管理が可能: エッチング量、などで処理表面の状態を数値管理することが可能である。3)
 写真-5、6アマルファでの接合例を示す。
3.2 レーザー処理
3.2.1  DLAMP(ダイセルポリマー)
 金属の表面にレーザー照射による特殊形状を形成し、これを金型内に配置して熱可塑性樹脂を射出成形(インサート成形)することで接合する技術。これにより、特殊形状内部に樹脂が入り込みステッチアンカーと呼ぶ樹脂部分を形成するため、金属と樹脂を高い強度で接合する。この技術は、様々な金属部材に適用可能で、金属に近い線膨張係数を持つ長繊維強化樹脂と組み合わせることで、より高い接合強度と、耐久性に優れた接合が可能となる。
1. DLAMPの特徴
a) ‌レーザーの処理条件で、様々な金属へ適応可能(アルミ、ADC12、SUS、Mg、SPCC)。
b) ‌部分処理(片面処理、パターニング)が可能。
c) ランニングコストが安価(電気代のみ)。
d) ‌廃液や端材などの廃棄物は発生しない。
2. 接合メカニズム
 レーザーで形成した空隙に侵入した樹脂が、ステッチアンカー(縫いこみ構造)を形成し、高い接合強度が得られる。
 独自開発の低線膨張樹脂は樹脂の収縮を抑え、環境変化においても強度を維持する。
 同社では、次世代の金属代替材料として期待されている長繊維強化樹脂「プラストロン」を展開しているが、

全文:約4848文字

関連キーワード: ·

技術セミナーのご案内

ゴムタイムス主催セミナー