滑剤｜プラスチック添加剤

1．概要
滑剤はプラスチックの成形加工時に、プラスチックと成形加工機の金属面との摩擦を減少したり、樹脂間の摩擦を減少させ、流動性や離型性を改善し、加工性を改良させる。このような作用により、加工時の樹脂温度の上昇を抑制し、実質的に樹脂の分解を抑制して安定剤の補助的役割をしている。滑剤はその作用により外部滑剤と内部滑剤に分類される。
外部滑剤：プラスチックと加工機の摩擦を低下させるもの
内部滑剤：プラスチック粒子間の摩擦を低下し、潤滑剤的作用をするもの

2．滑剤の種類
●炭化水素系滑剤：パラフィンワックス、合成ポリエチレン、流動パラフィンで代表的な外部滑剤で化学的に安定である。
●脂肪酸、高級アルコール系：ステアリン酸、ベへニン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリルアルコールで外部滑剤として作用するがアルコール系は内部滑剤として作用する。しかし、12-ヒドロキシステアリン酸は水酸基の影響で内部滑剤的作用も有している。
●脂肪酸アマイド系：ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイドがあり、主に、PE、PPのスリップ剤、ブロッキング防止剤として使用される。PVCには熱安定性を低下させるためほとんど使われない。
　アルキレン脂肪酸アマイドとしては、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイドがあり、PVC用のブロッキング防止剤、PS、ABS樹脂用滑剤に有効である。
●金属石鹸類：ステアリン酸カルシウム、亜鉛、マグネシウム、鉛塩で滑剤であるとともにPVC用安定剤としても使用される。塩ビでは亜鉛塩、鉛塩は外部滑剤として、カルシウム塩、マグネシウム塩は内部滑剤として使用される。
●エステル系：アルコール、多価アルコールの脂肪酸エステルであり、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ブチルステアレートなどがあり、内部滑性と外部滑性の両方の性質を持つ。