一般プラスチック用安定剤|プラスチック添加剤

2020年08月01日

ゴムタイムス社

1.概要
ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ABS樹脂、エンジニアリングプラスチック(エンプラ)などのプラスチック用安定剤はほとんどの樹脂で共通のものが使用される。それらをプラスチックの劣化反応に対する抑制機能別に分類するとラジカル連鎖開始阻害剤、ラジカル捕捉剤、過酸化物分離剤に分けられる。

2.一般プラスチック用安定剤の種類など
①ラジカル連鎖開始阻害剤
プラスチックは成形加工時、使用時の熱、機械的剪断力、光、金属イオンなどにより連鎖開始点となるラジカルが生成する。ラジカルが生成しなければ自動酸化反応は起こらず、プラスチックは劣化しない。ラジカル生成要因の影響を抑制する連鎖開始阻害剤として以下のものが開発されている。
●金属不活性化剤:銅イオンなどをキレート化して無害化し、金属と接する用途で配合される。
●紫外線吸収剤:紫外線を吸収して異性体に変化することでエネルギーの高い光エネルギーを熱エネルギーに変換し、ラジカル生成を抑制する。屋外で使用するプラスチックに使用され、プラスチックとの相溶性、揮発性を考慮して選定される。
●クエンチャー:励起されたエネルギーを失効させる。Niキレート系が知られており、欧米ではフィルム類に使用されているが色調が強いため、わが国ではほとんど使用されていない。

②ラジカル捕捉剤
樹脂中で生成したラジカルは空気中の酸素と速やかに反応し、パーオキシラジカルとなり、放置すると直ちに樹脂から水素を引き抜き、新たなラジカルを生成する連鎖反応が開始される。この連鎖反応を断つためにラジカル捕捉剤が添加される。ラジカル捕捉剤としては以下のものがある。
●フェノール系酸化防止剤:代表的なラジカル補足剤で着色が少なく、ほとんどのプラスチックに配合されている。水素を供与して自らは安定なフェノキシラジカルとなるのでラジカル連鎖反応を停止し、酸化防止剤として機能する。
●アミン系酸化防止剤:効力は大きいが着色する難点があり一般プラスチック用としては使用されず、ゴム用酸化防止剤として使用されている。
●HALS(ヒンダートアミン系光安定剤):代表的な光安定剤の一種であるが、他の光安定剤と異なり、紫外線を吸収せず、光により生成したラジカルの捕捉剤として機能していると考えられている。
●過酸化物分解剤:パーオキサイドラジカルから生成する過酸化物(ハイドロパーオキサイド)は不安定で熱や光などの影響で容易にラジカル開裂し、新たなラジカルが2個生成し、そこから別の連鎖反応が始まる。したがって過酸化物を無害化する添加剤も重要でイオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤という過酸化物分解剤が開発されている。
●イオウ系酸化防止剤:Ⅱ価のS原子がハイドロパーオキサイド(ROOH)から酸素を引き抜きROOHは安定なROHとなり、Sはスルホオキサイドとなる。スルホオキサイドはさらに酸素を引き抜き、一分子のS化合物は数分子のROOHを無害化する。イオウ系単独添加では効果はなく、フェノール系酸化防止剤と併用したときに著しくプラスチックの耐熱性を改良する。
●リン系酸化防止剤:Ⅲ価のP原子がROOHから酸素を引き抜き、自身はV価となり安定化する。化学量論的な反応であるが、反応速度はS系より速く、フェノール系酸化防止剤と併用してプラスチックの加工安定性、色調改良剤として使用される。

3.一般プラスチック用安定剤の相乗作用、拮抗作用

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