ポリメチルペンテン(PMP)|エンジニアリングプラスチック(エンプラ)

2020年07月19日

ゴムタイムス社

【開発経緯概略】
ポリメチルペンテンは、4-メチルペンテン-1をチーグラー触媒で重合したものであり、立体規則性の優れた結晶性ポリマーである。
イギリスのICIが開発し、全事業を三井石油化学(現在の三井化学)に売却したので、現在同社が世界唯一の製造販売会社である。この樹脂は、嵩高い側鎖を持つため結晶部と非晶部の密度がほぼ同一であり、0.83と熱可塑性樹脂中最小である。また結晶性ポリマーでありながら優れた透明性を示す。非常に高い融点(235℃)を持ち、PPより高温での使用が可能である。

【性質、加工、その特徴】
① 結晶性プラスチックであるが結晶部と非晶部の屈折率が等しいので、透明である。
② 比重が最小(0.83)のプラスチックである。
③ 融点は235℃で、高温では柔軟性が増し、破断伸びおよび衝撃強さも向上する。ガラス繊維を強化すると強度および弾性率を大幅に向上することができる。成形品は短時間であれば200℃の高温に耐える。
④ 耐熱劣化特性も良く、UL温度指数は115℃である。
⑤ PPに類似した性質(銅害もある)を有し、さらに透明性、耐熱性が優れている。
⑥ 電気的性質が優れており、絶緑破壊電圧が高い。誘電率、誘電正接が小さいので、高周波特性も優れている。
⑦ 吸水率がほとんどなく、また、加水分解を起こさないため耐水性、耐スチーム性に優れている。
⑧ 耐薬品性は良好である。酸、アルカリに耐える。ただし芳香族系溶媒、ガソリン、塩素系溶媒には侵される。たとえば、四塩化炭素、シクロヘキサンには溶解し、ガソリンには膨潤する。
⑨ PE、PPに比較して、酸素、窒素、炭酸ガスの透過性が良い。酸素の透過率が窒素の透過率の4~6倍あり、酸素透過膜として利用できる。
⑩ PPと同様紫外線により劣化を受けやすいので、紫外線吸収剤や抗酸化剤を添加する必要がある。
⑪ 耐クリープ性などはPPより優れている。
⑫ 無毒である。

【新製品への応用と主な用途】

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